金融庁と日本銀行が語るステーブルコインとCBDC、「中の人」の視点とは?
CBDCの実際、「中の人」の視点とは?
大来氏:私からもお聞きしたいのですが、わが国を含め各国において中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討が進められています。CBDCとステーブルコインなどのweb3.0的な世界とは、どういう関係にあるのでしょうか。共存するのか、ある意味でバッティングするのか、いろいろな見方があるように思います。 鳩貝:CBDCとステーブルコインや暗号資産は、バッティングするというよりは、担う役割が異なるのではないかと思っています。 中央銀行によって発行される一般利用型のCBDCは、どこでも誰でも幅広く使える特徴を持つデジタルマネーとして位置づけられると思います。一方で、ステーブルコインは、暗号資産や分散型金融の世界で、フリクションの小さい交換の媒体として活用が期待されています。 その上で、共存や連携の可能性も模索されていると思います。諸外国の検討においても、CBDCのシステムとブロックチェーンの連携が、重要な論点の1つとして認識されています。 日本銀行も、昨年来、リテール決済領域などにご知見のある64社の事業者の皆さまと「CBDCフォーラム」を開催し、幅広い論点について継続的に議論していますが、ある分科会では、CBDCとブロックチェーンやアセットトークナイゼーションとの関係をテーマの一つとしています。 このほかの関わりとしては、ブロックチェーンを構成する要素技術について、CBDCを支える可能性があるかを検討していることも、指摘できるかと思います。
金融庁も日本銀行もイノベーションと真剣に向き合う
大来氏:中央銀行も、イノベーションと真剣に向き合いながら、新しい決済の仕組みを構想しているということですね。 この動きには、民間において決済に関わるビジネスを営んでいる者に規制監督を及ぼしたりイノベーションを政策的に促進したりする立場にある政府サイドとしても、しっかりとアンテナを立てていきたいと思います。 鳩貝氏:今回改めてお話を伺い、金融庁の取組みのみならず、Web3.0に関する将来展望や、イノベーションと金融・決済の関係など、さまざまな示唆を頂きました。大来参事官、どうもありがとうございました。
インタビューアー:日本銀行 決済機構局 FinTech副センター長 デジタル通貨検証グループ長 鳩貝 淳一郎氏