金融庁と日本銀行が語るステーブルコインとCBDC、「中の人」の視点とは?
ステーブルコインは「結節点」として機能できるか?
鳩貝氏:暗号資産というものに対する国民の受け止めも重要な要素であり、それだけに、安全にサービスが利用できる環境の一層の整備などが業界の側にも求められるということですね。制度改正から1年が経ち、事業者の側にもこれらの改正を踏まえた動きがでてきていますね。 ていねいにご説明を頂いて、かなり理解が深まったように思います。金融庁のこれらの取り組みが、web3.0的世界の金融サービスや、ひいては既存の金融サービスの発展にどのように貢献するとお考えでしょうか。 大来氏:やや投機色の強い盛り上がりを見せていたような暗号資産ビジネスはひと段落し、いかに実用性のある価値を暗号資産に付与するかが重要な局面に移行しつつあるのではないかと考えています。 もちろん、暗号資産は従来と同様、ゲームやエンタメとの親和性は高いので、引き続きこの分野の発展には期待が寄せられていますが、そうしたところにとどまらず、少子高齢化や地球温暖化など社会課題の解決につながるような、手触り感のあるユースケースが生まれ、それが国民の間に広まっていくと、さらにエコシステムの好循環が生み出されうるのではないかと感じています。 一方、ステーブルコインに関しては、暗号資産よりは安定的な決済手段の側面が強く、ビジネスや取引の結節点として機能することを期待しています、と、私は思うのですが、この点、鳩貝さんはどう考えていますか? 鳩貝氏:おっしゃるように、ステーブルコインが「結節点」として機能し、ブロックチェーンの上のエコシステムに影響を与えるのだろうと思います。 パブリックブロックチェーンの上にはスマートコントラクトで構築された分散型金融の仕組みが存在し、暗号資産が交換されています。また、既存の金融との関わりでは、金融資産などのトークン化の提案があります。今後、現在の私たちでは想像もできないようなデジタルアセットが生まれるかもしれません。 仮に、こうしたアセットサイドの進化がさらに進む場合には、「アセットと同じプラットフォームに乗った資金」というものに対し、社会的ニーズが高まるかもしれません。 ステーブルコインが、制度改正により安心して使える存在となれば、アセットサイドの進化とともに活用され、こうした金融サービスの進化をますます下支えする存在になるかもしれませんね。