『シン・仮面ライダー』庵野秀明、念願だった各話フォーマット版 大河で多忙の柄本佑も追撮参加「3日間だけもらった」
エンディングの追加撮影には、一文字隼人役の柄本佑が参加。NHK大河ドラマ「光る君へ」の撮影で忙しい中、「3日間だけもらった」と庵野監督は明かす。「柄本さんも頑張りましたね」という田渕アクション監督も、「昔の方(オリジナル版)もいろいろ四苦八苦して出てきたわけじゃないですか。いい部分が自分の身になったかなと。だからアレンジを加えたエンディングは気に入っている」と笑顔を見せた。 尾上准監督も「エンディングを撮っている時は夏だったから暑かったんだよね」と続けると、庵野監督も「ちょうど2か月くらい入院だったんで。今はわりと動くようになりました」と語りながら、足首を回転させてみせて回復ぶりをアピール。
その後も「邦画で一番厳しいのが、撮る場所がないということ。ライダーもあそこで撮りたいというところがあったんですが」という庵野監督の思いから、苦労続きだったというロケ地探しの話。ハチオーグ役の西野七瀬が自分でアクションをこなしていたが、別現場で田渕アクション監督に会うと「今日何かありましたっけ?」とビクビクしていたという話。そして、尾上准監督が参加していた「宇宙刑事」シリーズの過酷だった撮影エピソードの数々。肉体のアクションをCGでどう補うかといった話。さらには、往年のテレビシリーズのテロップを再現し、大喜びした庵野監督が「手前味噌ですが僕の名前があの明朝体で、石ノ森先生の後に出たのを最初にみて大喜びしました」と振り返ると、尾上准監督が「あなたの喜びのために俺たちがやってるのってずるいよね。そういう風な気持ちにさせるのがうまいんだよね。これはほめてるんですけどね」と返すといったやり取りなど、ファン垂ぜんのトークが次々と繰り広げられた。
そのストイックさとこだわりの強さで知られる庵野監督だが、「現場でできないことは言いません。頑張って無理したらできることをお願いしているだけですから」とのことで、「それが普通になったね」(田渕アクション監督)、「ほかの現場だとぬるく感じる。こんなに簡単に決めていいの? と思うくらい」(尾上准監督)というスタッフ陣。「申し訳ございません」という謝罪する庵野監督に、あらためて尾上准監督も「これは愚痴じゃなくてほめてるんです。次もよろしくお願いします」と返した。 そして最後に「各話フォーマット版は、僕としてはこちらをやりかたった。だから劇場公開のあと、これをやって、僕の中の 『シン・仮面ライダー』は完結をみるかなと。相当無理してやったんですけどできてよかった。仮面ライダーって各話フォーマットの話なので。再構築できてよかった」としみじみ語った。(取材・文:壬生智裕)
『シン・仮面ライダー』Blu-ray&DVDは11月20日発売予定