6速MTד進化版”VTECターボ搭載! ホンダ「新型スポーツハッチ」がスゴイ! 硬派“過ぎない”「シビックRS」の実力とは
サラリと乗れるのにしっかり「スポーツ」できる!
そしてエンジンやステアリングだけでなく、足まわりの味わい深さもシビックRSの大きな魅力。 高性能タイヤでごまかさず、路面からの入力をある程度はしっかりとドライバーに伝えながら、追従性と接地感を自分でコントロールする余白が残されている、この楽しさ。 思わず「これこれ、これだよ」とニヤリとしながら運転していました。
聞けばこのセッティングを出すために、1990年代初めに登場して一世を風靡したEG型シビックで使われていた「SPVバルブ」を、サプライヤーさんがすでに生産終了していたにもかかわらず頼み込んで再生産してもらってまで入手したというではないですか。 そのバルブを使うことでショックの油圧のシリンダー径を大きくすることができ、セッティングの幅が広がるのだとか。 そのため、もしかすると当時のEG型シビックに乗っていた人がこのRSに乗ると、どこか懐かしく感じる乗り味になっている気がしました。 そのほか、ブレーキを15インチから16インチに大径化し、熱容量が14%アップしたことで現行モデルに対し温度上昇を約10%低減。ブレーキ踏力の設定を最適化して、剛性感やフィーリングを向上させています。 今回の試乗コースではそれほど強いブレーキングを必要とするシーンはなかったものの、普段の運転でも踏み始めから思ったとおりの感覚で減速してくれる印象。安心感があるブレーキフィールでした。 さらに後席でも試乗してみると、確かにやや引き締まった乗り心地で、高速道路の継ぎ目などではドス、ドス、といった振動が伝わります。 でも全体的に収まりが良く、ボディの剛性感が高いので横揺れや不快な突き上げなどはなく、これなら家族でも使えるクルマだと感じます。 それでいて、だんだんとドライビングスキルが上がってきたら、ひとつ上のレベルの走りもできるポテンシャルを持っており、「TYPE Rへの登竜門」的な役割も果たしてくれるのではないでしょうか。 ハードすぎず、サラリと乗れるのにしっかりスポーツできる新型シビック RSは、現代の空気に合った「汗臭くないスポーツモデル」の代表選手だと思います。
まるも亜希子