11月に公表された飲食料品の値上げは14社、795品目 「円安値上げ」の割合は7割まで上昇
【海外・為替要因の値上げ割合】急激な円安進行で夏場以降、高水準で推移
円安や海外からの調達コスト上昇(飼料含む)を主要因とした値上げの割合は8月以降、上昇している。11月判明分では、社数の71.4%、品目数の67.0%と、ともに半数を超えた。 1月はロシアのウクライナ侵攻による世界的な流通コストの上昇や小麦価格の上昇が大半を占めたが、ドル円相場が1ドル=145円台を付けた8月中旬以降、国内の原材料調達や物流コスト以上に、海外からのコスト高を要因とした値上げが深刻化。具体的な品目では、オリーブやごまなどの食用油原料、乳製品の生産に係る飼料、調味料の原料となるトマトやジュースに使用する果実類など、食卓に身近な原料の調達コストの増加が顕著となっている。
【分類別】「調味料」がトップの9,000品超、輸入品で調達コスト増
2023年値上げ分の3万2,159品の分類別では、最多は調味料(9,327品、構成比29.0%)で、約3割を占めた。調味料は、ドレッシングや業務用スープ類に加え、原材料を輸入品に頼る中華調味料、香辛料などが目立つ。2024年もトマトの輸入コストの上昇でケチャップやパスタソースの値上げが2月以降に予定されている。 次いで、加工食品(8,002品、同24.8%)、飲料・酒(5,760品、同17.9%)が続いた。飲料・酒は、来春には一部の洋酒で輸送費の増加や現地メーカーからの引き渡し価格の変更に伴う値上げも行われ、同業各社が追随する可能性もある。
主要飲食料品メーカー200社が公表した2023年の出荷・納品分の価格改定は、3万2,159品に達した。2024年実施分もすでに960品が判明している。ただ、これまでの値上げがひと息つき、実施ペースは11月・12月と1,000品を下回る水準で落ち着いている。 一方、海外からの調達コスト(飼料含む)や円安を主要因とした値上げは、11月に公表した14社中、10社(構成比71.4%)、品目数では795品中、533品(同67.0%)まで拡大した。為替変動による価格転嫁は、メーカー各社の対応に委ねられており、海外からの調達コスト上昇を要因とした値上げは2024年も高い割合で推移しそうだ。また、商品パッケージに係る包材や資材も輸入原料やエネルギー価格が上昇しており、2023年に価格改定された商品の再値上げもありそうだ。