勝負の3年目「本来の渋川難波を出す」宣言 Mリーグの麻雀は「勝負手だけアガって安全に勝てる時代は終わった」/麻雀・Mリーグ
振り返れば、3ケタプラスを叩き出しても自分らしくない姿があった。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」KADOKAWAサクラナイツ・渋川難波(協会)は昨シーズン、+147.2で個人9位になりチームのレギュラーシーズン突破、ポストシーズンでも貢献しチームの3位に貢献したが、どうにもまだしっくり来ていない。「もっと伸び伸びやりたかった」とチーム事情を気にするあまり、自分らしさを貫けなかった。勝負の3年目。「本来の渋川難波を出す」と攻撃型にシフトすると宣言した理由には、Mリーグのトレンドの変化もあった。 【映像】わずか65秒!渋川難波、あっという間のアガリ ―昨シーズンは開幕前にMトーナメントで優勝。そこからレギュラーシーズンでは3ケタプラスを築いた。その流れを含めて、昨シーズンはどういうシーズンだったのか。 渋川難波(以下、渋川) 昨シーズンは、レギュラーで敗退したチームは解散ということで、少し緊張感がありました。僕はスタートで大きく負けて「あぁ、ちょっとまずいな」というところから盛り返しましたが、途中は通過を意識し過ぎて、少し堅めの麻雀を打っていました。選択としては、ファンの気持ちも考えると間違っていないとは思いますが、もっと伸び伸びやりたかったな、というのがある。それは新しいシーズンでやってやろう、とは思っていますね。 ―守備的な意識が渋川選手の意識の中でも強かったか。 渋川 最初は勝つしかなかったんですが、途中でサクラナイツはポイントをかなり持っていたので、「ここから落ちるわけにはいかないな」という時に、自分が2着目で、トップを強く見るが、その分3着、4着にも落ちるような時に、「まぁ2着でもいい」という選択を取るようなことが多かったかな、と思います。もちろん、トップは取りに行きますが、どちらかで迷うような時は、安全な方に行きがちだったかな、と。 ―今年は呪縛から解放されて、好き放題やれるのか。 渋川 呪縛から解放されたのと、(自身)3年目なので。今までは、めちゃくちゃなプレーをして裏目になった時のショックが…。僕一人ならいいですが、見ている人や全員のことを考えると、やりづらかったところがありましたが、もう3年目で慣れてきました。 普段の個人戦だと、めちゃくちゃなことをやるタイプなので。もうチームのことは忘れて、個人プレーに走ろうかな、とは思っていますね。 ―1年目は初勝利の前に大負け。2年目はそういう戦いをして、徐々にMリーグの中での自分の出し方ができるようになった。 渋川 1年目ではどっちに転ぶか、みたいなことはやりづらかったのと、2年目はチームの危機があったので、やりづらかった。3年目でついに、本来の渋川難波を出そうかな、という感じです。 ―Mリーグから入ったファンは、本来の渋川難波を知らない方もいる。「どういうところを見て」と思うか。 渋川 結構、思い切った手組みをしたり、思い切った押しをする。今までの「これは、渋は降りるだろうな」みたいなやつも押すようになると思いますね。 ―成績としてはメリハリが付きそう。 渋川 でも、トップは小さいんですよ、僕。そこはあまり変わりませんが、安定感があるというか、守備的なイメージを持っている人が多いと思うので、そこのイメージは変わると思います。やめる時はやめますが、もっと仕掛けが増えたり、追っかけリーチが増えたりする気はします。 ―「行く選択を取る」で言えば、去年に入った鈴木大介選手やMVPを取った鈴木優選手がいる。そのあたりとバチバチに戦うのか。 渋川 少し僕とは違うので。それは見てもらいたいですね。もっと軽い感じで。ちょっかいを出しに行く感じですかね。 ―ちょっかいで言えば、Mリーグの麻雀が変わりつつある。具体的に言えば、仕掛けが増えた。感じるところがあるか。 渋川 感じますね。僕が入った時にも少し変わったと思いますが、見ていた時、僕が解説で行っていたときと比べたら、間違いなく増えています。打ち方の傾向は変わっていますね。 ―それは人が変わったからというのもあるが、違う理由もあるのか。 渋川 Mリーグは守備型の選手が勝ちづらいというか、勝ってきた選手は攻撃型が多い。やはり、選手もそこに合わせていくし、さらに入ってきた人も攻撃型が増えている。どんどん守備型の人が勝ちづらくなってしまうので、全員、自分なりに攻めの精度を上げようとなると、仕掛けも増える。そういう感じでどんどん変わっていっているのかな、と思います。 ―今年はセガサミーフェニックスに2人、新選手が入った。より攻撃的、攻めが強いトレンドが進むのか。 渋川 昔は「放銃したら下手だ。罪だ」みたいな意識が強かったと思います。今は、それももちろんありますが、「行くべき点で行かないのも下手」みたいになっている。見ている人の意識も変わってきているので、選手としても、攻めやすい環境にはなっているのかな、と。攻めた結果、放銃しても「これはしょうがない」みたいな感じになりつつあるかな、と思っています。 ―潔い、後に繋がる放銃が増えてくる。 渋川 そちらの方が勝ちやすいのかな、と。今のフィールドでは。これは選手全員が感じていることだと思います。 ―チームメイトを含めて、そういう打ち方をしているのは誰か。 渋川 新しく入った(赤坂ドリブンズ)渡辺太さんが一番攻めているかなと。正直、攻めすぎだと思っている人も多いと思いますが、それでも成り立つくらいなので。少なくとも、あそこまでとは言わないにしても、もう少し攻めないと、今のフィールドには合わないのかな、とは思っています。 ―それは従来型からすれば「そんなに行くのか」ぐらいか。 渋川 常識ではない、みたいな感じですが、「守って守って、勝負手だけアガって安全に勝てる」という時代は終わったかな、という気がしますね。 ―そんな戦乱の中、今年の目標は。 渋川 ポイントの目標はあまりありませんが、とにかく、ずっと縮こまらずに自分らしく最後まで打とう、というのが目標です。負けが込むと、どうしても無難な選択をしがちなので。勝っている時は伸び伸び行けますが、例えば4着・4着と来て「本来はこうしたいけど、無難なのは絶対にこっち」みたいな時があるので、その時に自分らしく打ち切る、無難ではない方を選ぶことを、シーズンの最初から最後までやりたいですね。 ―日和った選択をすると、堀選手に怒られるか。 渋川 どちらのパターンもありますね(笑)。無難にしても怒られる時もあれば、無難にしなくても怒られる時もありますが、そこは負けずにいきたいです。ただ、昨シーズンは無難な選択をして「しょうもなかったな」と思うことが多かったので、戦う気でいきます。ミスはミスですが、自分が意志を持ってやったことについては後悔がないようにやっていこうと思います。 ―堀渋コンビとしての目標は。 渋川 堀渋が出たら、相手が恐れおののくような感じにしたいです。まだ、コンビで出た時にあまり勝っていないので。相手も「あー、また来たか」くらいの感じなので、ビビらせるくらいの成績を出したいですね。 ―サクラナイツは昨シーズンを含めて成績が落ち込んだ時、「渋川さんの配信が支えになった」というファンの声を多く聞く。今後も試合後の配信は続けるのか。 渋川 勝っても負けても元気よくやっていこうかな、と。ただ、「この負けはコメント欄が荒れそうだな」と思った時は、寝かせたりもします(笑)。そこらへんの押し引きもやっていきます。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部