ツインショック化で、250ネイキッドの最終兵器となったバリオスII
ツインショックとなり、扱いやすさもアップしたバリオスII
時代に逆らうようにツインショック化されたバリオスIIだが、しばらくの間はモノショックのバリオスが併売されていた。このツインショック化は好調な売り上げを続けるゼファーシリーズの影響を受け、より強くネオクラシック路線に舵を切ったものと考えられる。当然スイングアームは新造されたものになり、フレームにも大幅に手が入っている。スペック上では1380mmだったホイールベースが1400mmになっている。同時にハンドルの高さとステップの位置が変更され、ポジションはよりリラックスしたものになっている。 撮影車はバリオスの最終年式となる2007年型。レーサーレプリカZXR250譲りのパワーユニットは、馬力規制によって40PSとされていたものの、レッドゾーンが17000rpmから始まる超高回転ユニットであった。最高出力の40PSは14000rpmで、後期型のZXR250が同じ40PSを15500rpmで発生してことを考えると多少ではあるが中低速型にチューニングされたと考えられる。ただ、トルクはバリオスの後期モデルが10000rpmで2.4kg-fを発生していたのに対して、バリオスIIは13000rpmで2.1kg-fと高回転化した上に若干ダウンしているのだが、スロットルポジションセンサー「K-TRIC」付きのキャブレターを装備するなどして扱いやすさを損なうことはなかった。
ベストセラーとなったバリオス
結果としてバリオスIIはユーザーたちに受け入れられ、バリオスは生産中止となりバリオスIIに一本化された。このバリオスIIはスズキとのOEM契約により2002年からGSX250FXとして供給されている。バンディット250が1997年に生産中止になっていたことを考えると、長く続いたネイキッドブーム、いやバイクブームそのものに陰りが見え始めたのがこの頃だったのだろう。 バリオスIIは2007年に排出ガス規制によって生産中止になるまで、バリオスから数えると17年もの間生産が続けられたロングセラーモデルとなった。生産中止からさらに17年が経過した2024年現在においても人気は高く、稼働している車両も多く見られる。バリオスシリーズはゼファーシリーズと共に、「一部マニア向け」と捉えられがちだったカワサキのバイクをベストセラーに押し上げた名車であったと言えるだろう。
バリオスII(2007)
・全長×全幅×全高:2070×735×1055mm ・ホイールベース:1400mm ・シート高:745mm ・乾燥車重:151kg ・エジンン:水冷4ストロークDOHC4気筒4バルブ 249cc ・最高出力:40PS/14000rpm ・最大トルク:2.1㎏m/13000rpm ・燃料タンク容量:14L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=110/70-17、R=140/70-17 ・価格:54万4950円(税込当時価格)
後藤秀之