体内を舞台に笑って泣かせるバトル映画、武内監督の面目躍如「はたらく細胞」ほか3本 シネマプレビュー 新作映画評
公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 【場面カット】イザベル・ユペールと伊原剛志が共演する「不思議の国のシドニ」 ■「はたらく細胞」 「翔んで埼玉」などの武内英樹監督の面目躍如たる人気漫画の実写化。やたらと大勢のキャラクターが登場するが、それぞれに明確な役割を与え、特徴を際立たせる手腕が相変わらず見事。笑いあり、アクションあり、そしてやっぱり泣かされる。 高校生の漆崎日胡(にこ、芦田愛菜)と父、茂(阿部サダヲ)の現実世界と2人の体内が舞台。健康な日胡の体内では、赤血球のAE3803(永野芽郁)や白血球のU-1146(佐藤健)らが楽しく働いているが、異変が起きる。 ドラマ「マルモのおきて」の名コンビ、芦田と阿部が現実世界の父娘を堅実な芝居で見せる。その分、2人の体内というファンタジー部分では、細胞たちがギャグとアクションで大いに弾ける。 永野は、おっちょこちょいだが責任感が強く、決してくじけないヒロインを、いつも通りの手堅さで演じる。佐藤は白塗りで白血球にふんしている。アクション監督が佐藤主演の「るろうに剣心」の大内貴仁(たかひと)。佐藤が白塗りの緋村剣心に見えてきて、胸が熱くなる戦闘場面になっている。 13日から全国公開。1時間49分。(健) ■「映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」 児童書の実写化。路地裏に突然現れる不思議な駄菓子屋。客に必要な特殊な効能がある駄菓子を提供している。ただし、これを食べて幸せになるか不幸になるかは本人次第。どことなく「ドラえもん」と「笑ゥせぇるすまん」を合体させたような趣だ。 天海祐希が特殊メークで手までふっくらとさせ、銭天堂の主、紅子を演じる。ライバルの「たたりめ堂」の主、よどみに上白石萌音。紅子とよどみのにらみ合いは迫力満点で、さすがにうまい2人だ。 監督は、ホラーの名手、中田秀夫。総じて冬休みの子供向け作品だが、邪気の描写などに中田色が出ている。 13日から全国公開。1時間43分。(健)