体内を舞台に笑って泣かせるバトル映画、武内監督の面目躍如「はたらく細胞」ほか3本 シネマプレビュー 新作映画評
■「お坊さまと鉄砲」
国の豊かさの指標にGNH(国民総幸福量)を掲げるブータン。王制から立憲君主制の民主主義国家へと転換されたが、本作は初の選挙を目指し、山間の村で行われた模擬選挙をめぐる物語だ。
2006年、模擬選挙の話を聞いた高僧が、なぜか若い僧に銃を手に入れるよう指示する。時を同じくして米国から南北戦争時代の〝幻の銃〟を探しにコレクターの男がやってきて、村を巻き込んでの騒動に。
監督・脚本は「ブータン 山の教室」のパオ・チョニン・ドルジ。前作同様、仏教に根差した文化や伝統を時にユーモアを交えて描いており、心温まる。ブータン・仏・米・台湾合作。
13日から全国順次公開。1時間52分。(啓)
■「不思議の国のシドニ」
日本を舞台に、仏の女性作家が体験する哀悼の終わりと再生をユーモアを交えて描く。エリーズ・ジラール監督自身の来日体験を基に作られた。
自作の宣伝で来日した作家、シドニ(イザベル・ユペール)は、独特の風景や文化、編集者・溝口(伊原剛志)の無口さに戸惑う。だが、夫のアントワーヌ(アウグスト・ディール)の死以降、小説が書けなかった彼女は、次第に心がほぐれていくのを感じ…。
仏壇のお供えの風習などを例に、日本を「死者がそばにいる国」としてとらえた点が面白い。シドニはこの国で夫と再会し、真の別れを告げる。どこかとぼけた語り口に味わいあり。仏・独・スイス・日合作。
13日から全国順次公開。1時間36分。(耕)