【老後不安】年金収入に希望は持てる?厚生年金「月額20万円以上」の割合は15%以下
今のうちからしておきたい3つの老後の備え
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は全体の44%であり、半数以上の人が「年金だけで生活していけていない」のが現状です。 前章で紹介したように、老後に受け取れる年金額は意外にも少なく、物価高騰が続く現代では、年金だけで100%生活していくのはハードルが高くなってきています。 上記をふまえ、安心した老後生活を送るためには、現役時代のうちから老後の備えをしておくことが大切です。 本章では、今からできる「老後の備え」について考えていきましょう。 ●1.老後の収支シミュレーションをしておく 老後の備えをするために、まず始めにしておきたいこととして「老後の収支シミュレーション」があります。 多くの人の場合、老後の主な収入源は「年金」となるため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来自分が受け取れる年金見込額を事前に確認しておきましょう。 年金見込額が分かったら、現在の生活費をベースに老後の支出シミュレーションをしておけると良いです。 毎月の生活費が赤字になる場合は、「毎月の赤字額×老後の生活期間」から、老後の生活費の補填としてどのくらい貯蓄しておくべきか算出しておくのも得策です。 ●2.資産運用を活用して老後資産を増やす 老後資金を「預貯金だけで貯めるのが現実的に難しい」と感じる場合は、資産運用を活用して「お金がお金を増やす仕組み」作りをすることをおすすめします。 特に2024年から新たに始まった「新NISA」は、以前よりも年間投資額が大幅に増額されただけでなく、非課税で保有できる期間が無期限となったことから、さらに長期的な資産運用がしやすくなりました。 新NISAは国が主導している「税制優遇制度」であり、時間をかけて資産形成ができるため、少額からでも始めやすい制度です。 「資産運用でどのくらい利益が発生するのか」を知りたい方は、金融庁が運用している「資産運用シミュレーション」を利用してみると良いでしょう。 ●3.将来受け取れる年金を増やす 最後に、将来受け取れる年金額を増やすことも検討しましょう。 前述したように、厚生年金の受給額は「現役時代の年収」と「加入期間」によって決定するため、収入が高く加入期間が長いほど、将来受け取れる厚生年金の受給額がアップしやすいです。 つまり、現在の給与が低いと感じている方は、転職をすることで給与アップだけでなく老後の年金アップにもつながるのです。 また、国民年金は未納期間があるとその分年金額が減額されてしまうため、過去に未納期間がある場合は、追納しておけると良いでしょう。 なお、現役時代のうちに検討しておきたい年金増額制度として「繰下げ受給」があります。 繰下げ受給とは、66歳~75歳までの間に、年金受給開始年齢を繰り下げて年金を受給するもので、受給開始年齢を遅らせることで、受け取れる年金額を増額することができます。 増額率は「繰り下げた月数×0.7%」で、最大で84%もの増額ができ、その増額率は生涯変わることはありません。 留意点として、繰下げ期間中は対象となる年金を受給することができないため、繰下げ受給期間中は、貯蓄を取り崩したり就労したりして、生活費を確保する必要があります。 受給額があがることで税金・社会保険料の負担が高まることや、加給年金が受け取れないなどのデメリットも押さえておく必要があります。 現役時代のうちに繰下げ受給のメリット・デメリットを理解し、繰下げ受給を選択した場合は「何歳まで働くのか」「貯蓄はいくら必要になるのか」なども想定しておけると良いでしょう。