平成の仏師の仕事に触れる「草仏展」を開催/愛知
名古屋市博物館(名古屋市瑞穂区)では、「第35回草仏展」を開催。現代日本を代表する仏師である江場琳黌(りんこう)氏と、息子の琳觀(りんかん)氏をはじめ、江場仏像彫刻所同人・仏像彫刻講座の受講生の作品が出品される。期間は5月20日~5月25日。入場無料。 仏像の製作に従事する仏師の歴史は古い。世界最古の木造建築物である法隆寺金堂に鎮座する釈迦三尊像では「623年に止利仏師が造った」という内容の光背銘を見ることができる。和様の仏像彫刻様式は平安時代後期に確立されたが、その様式を継承しながら、時代に合わせた新しい風を取り入れているのが、仏師の中でも最高位となる「大仏師」である江場琳黌氏と、琳觀氏だ。 愛知県長久手市に工房である江場仏像彫刻所を構え、豊川閣の聖観音像 雲中供養菩薩五駆、覚王山日泰寺の地蔵菩薩像、高隆寺の薬師三尊像など、愛知県を中心とした様々な寺院に仏像を謹刻。また1980(昭和55)年には「草仏会」を発足させ、同年より発表の場である「草仏展」を開催している。
第35回目となる草仏展では、江場琳黌氏の「不動明王」、江場琳觀氏の「地蔵菩薩」をはじめ、江場仏像彫刻所同人・仏像彫刻講座の受講生の作品約70点が出品される。江場琳觀氏は今回の作品展について「今年で35回を数え、この時期の名古屋市博物館での恒例催事の一つとなっております。琳黌作による高さ170cmとなる不動明王像は八事山興正寺の群像中の一体です。琳觀作による地蔵菩薩像は『賽の河原で子供たちが地蔵菩薩に救済される場面』を表しました。地蔵菩薩とともに二体の童子も展示されます。展示にあたり、比叡山延暦寺里坊 理性院の格別のご配慮をいただきました」とコメントを寄せた。 一刀一刀に魂が込められた仏師の仕事に触れられる、貴重な機会となりそうだ。