米国バイアスロン界に性的虐待スキャンダル 五輪代表選手らが被害に 疑惑のコーチ1人が休職処分
米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は12日、バイアスロン選手から性的虐待を告発されたコーチの1人を休職処分とした。複数の選手が告発を行ったとAP通信が報じたことを受け、USOPCがバイアスロン米国代表チームに対し「名乗り出た選手たちの勇気を称賛したい。内部調査が完了するまでUSOPCの職員を休職とした」とのメールを送信した。 USOPCは取材に職員の名前を明かさなかったが、AP通信は該当するコーチを実名で報じた。取材に応じた被害者の女子バイアスロン選手は、15歳の頃から同コーチにセクハラを受けたと明かし、選手を担当したセラピストによると、18歳になってから性的行為にアスカレートしたという。 女子選手は行為をやめるようにコーチに訴えたものの聞き入れてもらえず、外部に話せばキャリアが終わるなどと脅迫を受けたとされる。担当セラピストは10年9月、女子選手が重度のうつ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っており、指導をやめるべきとコーチに申し入れたが、選手は同年10月に自殺を図って抗うつ剤を過剰摂取し、チームメートに発見された。コーチは翌日にメーン州ウインタースポーツセンターの職を辞めており、16年に米国パラリンピック代表チームに採用され、パラノルディックスキーのハイパフォーマンス担当副ディレクターを務めている。 女子選手はUSOPCの対応を喜ぶ一方、米国バイアスロン協会が動かないことには落胆していると明かした。「女性蔑視文化の本当の起源は米国バイアスロンにあります。正直言って、協会の沈黙に驚いている」と話した。同協会のギアハートCEOはAP通信と協会メンバーに対し「言及された選手たちの体験を深く憂慮している。全員に、選手の安全に対する我々の取り組みを改めて表明したい」とメールを送った。米国セーフスポーツセンターの調査では、別のバイアスロン五輪代表選手が長年にわたり性的虐待や嫌がらせをされたとAP通信が今年初めに報じたことを受け、五輪代表6人を含む選手7人が被害を受けたと名乗り出ているという。