大阪の南北格差「食のブランディング」で打開…南海電気鉄道・遠北光彦会長兼CEO
ブランドに昇華 欠かせず
大阪南部は第1次産業が盛んで、南河内と泉北、泉南の3地域で、大阪府の農家数の56%を占める。堺市から、最南端の岬町にかけて、13の漁港もある。「食材の生産地としての基盤は十分に整っている」(遠北氏)のは間違いない。これらに付加価値をつけ、広く発信していくことが必要になる。 海外に目を向けると、美食の街として、食文化をブランドに昇華させた事例として、スペイン北部バスク地方のサン・セバスチャン市がよく知られている。 人口20万人足らずだが、新鮮な地元食材をいかし、趣向を凝らした料理を出す「バル」と呼ばれる飲食店が街中にひしめき、提供されるタパス(小皿料理)を求め、世界中から観光客が足を運ぶ。シェフ同士がレシピや技術を教え合い、共有し合うことで、食のレベルを底上げしてきた。 南大阪でも、それぞれの資源が持つ潜在力を、地域独自の魅力に高める食のイノベーション(革新)を起こせるかが鍵となる。各地の生産者や料理人らが集い、知恵を凝らすことで、独自の食文化を生み出せれば、世界から訪れる人を魅了できるはずだ。(畑中)