大阪の南北格差「食のブランディング」で打開…南海電気鉄道・遠北光彦会長兼CEO
淡路島に視察に行くと、手軽な値段で手に取れる販売拠点がしっかりと整備され、あちこちで、つかみ取りや詰め放題といったイベントもあった。消費者にとって「タマネギといえば淡路島」ということを強く印象づけるだけの取り組みが進んでいる。しかも、行政や地元だけでなく、レストランやカフェを展開するパソナのように、進出企業も地域の魅力を高めるブランディングに一役買っている。
自然や立地も
グレーターミナミでも、食材ごとの取り組みや市町村単独のPR策だけではなく、より広く「おいしいものがたくさんとれる泉州・南河内」という、エリアが一体となった打ち出しが少しずつ生まれてきた。 泉大津市で大阪調理製菓専門学校を運営する村川学園は、泉南市の梅や貝塚市の菊菜といった泉州エリアの地域食材をアレンジしたチョコレートを開発した。学生考案のご当地メニューコンテストなど、自治体や他企業とも連携し、食材の新たな楽しみ方を広める取り組みに力を入れている。 もちろん、グレーターミナミの魅力は食だけではない。
空の玄関口である、関西空港に近い立地も生かしたい。堺市や藤井寺市、羽曳野市にまたがる「百舌鳥(もず)・古市古墳群」は世界遺産に指定された。景観にも優れ、「日本の 夕陽ゆうひ 百選」に選ばれた海岸がいくつもある。日本で過ごす最後の1日に大阪南部を選んでもらえるようなプロモーションも考えていく。 12日には、エリア内の各商工会議所や企業、大学といった大商の推進委員会メンバーらが集い、取り組みの進展に向けたシンポジウムを開き、意見を交わし、知恵を出し合う。大阪全体の活性化につながるグレーターミナミの発展に一体となって取り組んでいきたい。
<南海電気鉄道>
大阪市浪速区に本社を置く、私鉄大手。南海本線で、大阪(難波)と和歌山(和歌山市)をつなぎ、訪日客の玄関口となる関西空港とを結ぶ特急「ラピート」などを走らせる。地域活性化に向けて、地場産業を発展させてきた沿線企業を応援し、発信する「オープンファクトリー」などのイベントも展開している。