「世界のモバイル決済額の7割がサブサハラ」アフリカでDXが進みやすい3つの理由...日本にも恩恵?
宮田 そうですね。ヘルスケア分野でもデジタル化が進んでいます。例えば、ナイジェリアの救急医療対応サービス「エマージェンシー・レスポンス・アフリカ(ERA)」では、月額13ドルほどの会費で救急車を呼べます。公的機関の救急医療は機能していないことが多いのですが、ERAに電話をすると、医療スタッフがすぐに来てくれます。また、ルワンダでは英国拠点のBabylon Holdings Limitedによる生成AIチャットドクターが導入されており、「頭が痛い」「喉が痛い」といった症状をチャットで答えると、病院に行く、行かないを判断してくれます。 進行補佐・JICA広報部 伊藤綱貴さん(以下、伊藤) 深津さん、日本ではどうしてDXが進まないのでしょうか。 深津 やはり、既存のインフラがしっかりしていることが大きいのではないでしょうか。例えば119番をしたら救急車が来てくれるとなると、「今からDXを活用した救急医療対応や遠隔医療を始めよう」となりにくいのでは。日本では初期投資に莫大な費用がかかる、といった問題もあると思います。
<アフリカでDXが進む3つの理由>
世良 ただ、今後のことを考えるとDXを進めたほうがいいのですか? 深津 実はそうなんです。インフラは数十年も経つと作り直さないといけないので。 世良 アフリカはどうしてDXが進みやすいのでしょうか? 宮田 大きくは3つです。1つは圧倒的に平均年齢が若いこと。アフリカの平均年齢は21.5歳※2で、やはり若い世代の方がデジタルを取り込みやすいと思います。2つ目は代替サービスがないこと。とにかく不便なので、「何とかしたい」という強いニーズがあります。3つ目は規制が少ないこと。日本だと行政の許可を取るのに時間がかかりますが、アフリカでは法整備がまだできていない部分もあり、どんどん試せます。 ※2 CIA World Factbookによる。 深津 アフリカの土地が広いことも関係しているかもしれません。広い土地に道路や水道を引くのは大変ですが、極論、ITは電波塔さえ立てば、それほどコストをかけずにサービスを一気に展開できます。