中国自動車業界が大型エンジンの輸入車の関税率引き上げを要望
【東方新報】中国自動車業界の関係者が、中国の電気自動車(EV)に対する特定の国や地域の保護主義的な動きを非難する一方で、カーボン排出量を削減し、自動車産業のグリーンな発展を促進するための努力の一環として、大排気量のエンジンを搭載した輸入車に対する一時的な関税率の引き上げの検討を要求している。 2.5リッターを超えるエンジンの輸入車に対する一時的な関税率の引き上げを提案したのは「中国自動車技術研究センター(CATARC)」の主席専門員で、同センターが北京市に設立した「中国自動車戦略・政策研究(北京)センター」の副主任の劉斌(Liu Bin)氏だ。 劉氏は、中国の自動車産業のための政策立案に参画し、中国工業・情報化部のため、自動車産業のグリーンでローカーボンの発展に関する研究を行っている。 中国産EV車を取り巻く現在の世界的な環境は、欧州連合(EU)が中国のEVに対する「アンチ補助金調査」を開始、米国が通商法301条に基づき既存の関税に加え、EVを含む中国からのさまざまな輸入品に対する関税を引き上げるなど厳しいものになっている。 劉氏は、特定の国や地域が中国のEVに対して行った保護主義的な行動を指摘する一方、「我々が提案する大排気量エンジン搭載の輸入車に対する暫定関税率の引き上げ案は、欧米の保護主義とは根本的に異なるもので、世界貿易機関(WTO)のルール、市場経済の原則、グリーン環境目標に沿ったものだ」と強調する。 劉氏の説明によると、WTOルールに従えば、輸入車に対する中国の暫定関税率は最大25パーセントまで引き上げることが可能で、これはWTOルールに則っているだけでなく、自動車産業におけるグリーン転換とカーボン排出量削減、すなわち2030年までのカーボンピークアウトと60年までのカーボンニュートラルの「ダブルカーボン目標」を掲げる中国の広範な取り組みにそく沿ったものだという。 大型エンジン車の暫定関税率を引き上げるという提案は、主要な自動車輸入セグメントに影響を与えると思われる。公式データによると、中国は23年に2.5リッター以上のエンジン搭載車を25万台輸入し、輸入車全体の32%を占めた。そしてこの輸入された大排気量エンジン搭載車は、中国全体の大排気量エンジン搭載車の消費の80パーセントを占めている。 暫定関税率が引き上げられれば、EUからの自動車輸入に大きな影響を与え、同時に米国からの輸入にも影響を与えると予想される。 CATARCの試算によると、23年末時点で中国のEV保有台数は2041万台に達し、毎年3000万トンのカーボン排出量削減に貢献するという。 劉氏は「省エネルギー技術のアップグレードが進むにつれ、中国の自動車産業は、省エネルギー、電動化、脱カーボン化に焦点を当てた産業構造の最適化が継続的に進む」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。