DOWAエレクトロニクス、新「酸化物系固体電解質」開発。世界最高水準の低温焼結性能
DOWAホールディングスは10日、子会社のDOWAエレクトロニクスが産業技術総合研究所との共同研究で、酸化物系の全固体リチウムイオン電池向けとして世界トップクラスの低温焼結性能を有するガーネット型固体電解質を開発し、販売を開始したと発表した。電解質を構成する粒子を微細化することで加圧成型時の密度が向上し、従来より低温の600度程度での焼成ができるため、他の材料の劣化を抑制した電池の製造プロセスを実現できる。同電解質を用いた全固体電池で十分な電池性能が得られることも確認した。 固体電解質には、主に硫化物系と酸化物系があり、電解質が燃えない酸化物系は、硫化物系よりも高い安全性・信頼性を実現できる。また、酸化物系の中でもガーネット型固体電解質は、全固体電池の高出力化・大容量化が可能な材料として有望視されている。だが、従来の製造法では1千度以上の高温で焼成する必要があるため、他の材料の劣化を招くという課題があった。 同社は、すでにNASICON(ナトリウム超イオン伝導体)型固体電解質を製品化しており、今回の開発品はそれに続く固体電解質となる。今後は今回の開発品のさらなる特性向上を目指すとともに、新製品の開発も進める考え。 全固体電池は、現在普及しているリチウムイオン電池と異なり、電解質が液体ではなく固体であるため発火リスクが低く、安全性・信頼性を向上できる。また、電池の高出力・大容量化や充電速度の向上が可能なほか、低温環境での出力安定化などの特徴から自動車用途や電力貯蔵などの大型電池向けでの実用化が期待されている。