老後資金は夫婦で「2000万円ずつ」貯めておくべきでしょうか?「4000万円」あればさすがに老後破産にはなりませんよね?
老後2000万円問題など、老後の生活で必要となる資金が話題になっています。大きな金額であるため「果たして貯められるのだろうか」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。 結論からいうと、老後に必要な資金は、受け取れる年金と生活費を踏まえたうえで余裕をもって準備する必要があります。今回は老後の生活にかかる費用や実際に不足する金額について紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
高齢者の生活にかかる費用
まず老後にかかる生活費を確認しましょう。表1は総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」における65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な出費です。 表1
※総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成 上記より、食費や交通費にかかる金額が大きいことが分かります。
85歳まで生きる場合
同資料より、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は24万4580円でした。よって毎月3万7917円の赤字が発生することが分かります。毎月3万7917円の収入が不足した状態で85歳まで生きる場合、不足する金額は20年間で910万80円です。 そのため、老後に一人2000万円、夫婦で4000万円貯蓄を用意した場合は、十分に不足分を補えると考えられるでしょう。 しかし、介護や医療に備える資金も貯めておく必要があるでしょう。高齢になるほど介護やけがや病気のときにも十分に対応できる資金も用意しなければならないと考えると、一人2000万円ではやや心もとないかもしれません。 ■孫や旅行にお金をかける場合はゆとりが必要 平均的な年金を受け取っている場合には、老後までに2000万円を貯金すると生活していけます。しかし、孫や子どもの生活を支援したり、旅行などのレジャーを充実させたりしたい場合にはもう少し資金に余裕があったほうがいいかもしれません。 たとえば、孫の進学費用をだすケースについて考えてみましょう。大学に進学し、私立で一年間あたり100万円以上の学費がかかると仮定した場合、4年間で400万円以上の出費になるため、もっと蓄えが必要になります。 また、子どもの結婚や出産、孫の誕生日や七五三など、さまざまなイベントが発生します。そのたびにお祝い金としてまとまった出費が必要になると考えると、最低限の生活費だけでは足りなくなる可能性があるでしょう。生活や介護・医療にかかるお金とは別に、自分を取り巻く環境に合わせた蓄えも必要といえます。