【チョーキューメイ インタビュー】つらい時期を過ごしながらも“生きていたい”と思う自分がいた
TikTokでのバイラルヒットなど、国内のみならずアジアからも俄然、注目を集めるチョーキューメイがニューシングル「promise you」をリリースした。壮大なアンサンブルと力強いメッセージを携えたこの曲にメンバーが込めた想いとは? 今の時代、生きづらさを抱える全ての人に届いてほしい今作について4人に語ってもらった。 チョーキューメイ インタビューその他の写真
初めて聴いた時は興奮で全身の毛が逆立った
──チョーキューメイにとって2023年はどんな年でしたか。 空閑:TikTokで「貴方の恋人になりたい」が注目されて、たくさんの人に聴いてもらえるようになったのはやっぱり大きかったですね。それがきっかけでライヴの動員も増えましたし、そこから飛び火して他の曲もいろいろ聴いてもらえているのはすごく嬉しいです。“チョーキューメイ、いいぞ”っていろんなところで言ってもらえるようにもなったし。 ──「貴方の恋人になりたい」のバイラルヒットは狙いどおりだったりするんですか? 麗:全っ然! 今年に入ってから私が“ちょっとTikTokをやってみようかな?”と思い立って、チョーキューメイの曲をいろいろ投稿してたら、なぜか「貴方の恋人になりたい」の反響がすごかったっていうのが始まりなんですけど、まったく誰も予想していなくて。曲自体、2022年6月リリースの1stアルバム(『するどいささくれ』)に収録されているものだし、私たちもアルバムの中の一曲っていう感覚しかなかったんですよ。だから、“本当にそんなことがあるの!?”みたいな感じで、まさかこんなふうに日本中だけでなく韓国とかアジアにも広がるなんて思ってもいなかったです。 ──そうだったんですね。そうした中、ニューシングル「promise you」がリリースされましたが、“生きること”について深く見つめた、曲調的にも壮大かつドラマチックな、心にガツンとくる楽曲に仕上がっていますよね。変な言い方になりますけど、バイラルヒットに乗っかって、よりキャッチーな方向性を目指すという戦略もあると思うんですが、そうではなく、チョーキューメイの次の一手としてこの曲を出そうと思われた経緯にすごく興味があって。 麗:確かにバズったあとの次の曲って期待されますよね。でも、私たちからすれば「貴方の恋人になりたい」のヒットは偶然の産物というか。もともとボカロとかアニソン好きなメンバーが集まったバンドですし、私自身も暗い曲が好きなので「promise you」みたいな曲のほうが親近感があるんですよ。高校生の時からこういう曲ばかり作っていましたし、逆に実家に戻ってきたような感覚で(笑)。 ──これが本来の自分たちだと? 麗:はい。「貴方の恋人になりたい」も自分たちの曲ではあるんですが…もちろん次の曲が期待されているっていうのは自分たちでも自覚していて。だけど、そこで「貴方の恋人になりたい」に似たような曲をリリースするのはちょっと違うと思ってもいましたし。そういう曲だけのバンドじゃないことを知ってもらいたかったっていうのはありますね。 ──作詞作曲は麗さんが手がけていらっしゃいますけど、どのようにして生まれた曲なんですか? 麗:今年の6月くらいに作った曲で…春先に人生で初めての引越しをしたんですよ。そこで自分の生活がガラッと変わって。自立しなきゃいけない、自分で自分の生活を支えなきゃいけないって、それこそ2ステップぐらい急速に進んだ感じなんですが、その変化にちょっとついていけなくなっちゃって、メンタルが参っている時期でもあったんです。結構つらい時期だったんですけど、それでも生きていたいと思っている自分がいて。それをシリアスに歌に落とし込んだのがこの曲なんですよね。最初はギターの弾き語りで作って、それをメンバーに聴いてもらったところからバンドでかたちにしていったんです。 ──最初に聴いた時はどんな印象でした? 空閑:初めて聴いたのが麗の弾き語りライヴだったんですよ。もともとメンバーみんなで行く予定だったんですけど、その日に突然“新曲やるから聴きに来て”って連絡が入って、いきなりライヴで聴かされたんです(笑)。聴いた瞬間、“ヤベぇ曲がきた!”って思いましたね。 れんぴ:本当に鳥肌が止まらなかったです。もう全身の毛が逆立つくらい興奮して、“この曲のピアノをどうにかして弾かせてほしい! 早くみんなで一緒に作りたい!”って想像するだけでワクワクして、ライヴどころじゃなくなっていました(笑)。 藤井:僕も“これをバンドでやるのかな?”って漠然と思いつつ、すでにベースラインを考えていました。 ──麗さんは最初からメンバーにその弾き語りライヴで新曲を聴かせるつもりだったんでしょうか? 麗:ライヴの前日、本番の15時間くらい前に思いついたんですよ。“明日、メンバー全員が来るし、いつもはやらないような何かいい曲はないかな?”と考えているうちに“待てよ? 新しい曲を作ればいいんじゃないか?”って。ちょうど自分の思っていることを歌にしようと思っていた時期でもあったし、一石二鳥というか、タイミング的にもいいなと(笑)。 ──それですぐに作れてしまうのがすごい! 麗:勢いで作っちゃいました。とはいえ、夜中の2時頃に思いついて朝の5時半くらいまではずっとギターを抱えて“こうじゃない、ああじゃない”ってやっていたんですけど。深夜に作ったものだから、起きて聴いたら恥ずかしすぎて死ぬかもしれないとも思ったんですけど、案外そんなこともなくて、会場に向かう電車の中で必死に曲を覚えていました(笑)。かなり寝不足のまま本番を迎えたんですけど…。 空閑:勢いで作ったにしては構成がきれいなんだよね。 ──弾き語りの時点でほぼ今のかたちだったんですか? れんぴ:ほとんど変わっていないですね。 空閑:弾き語りと比べるなら、1番のサビのあとにベースだけになるパートが増えたぐらいかな? ──あのベースのパートは楽曲のすごくいいフックになっていますよね。 れんぴ:そう! めちゃくちゃカッコ良い! 藤井:レコーディングは大変でしたけどね(笑)。 麗:♪ダダダダ、ダダダダ~ってひたすら8分音符を鳴らすフレーズなんですが、どうしても♪ダダッダ、ダダッダ~ってちょっと刻みたくなっちゃうみたいで。 藤井:ベーシスト特有の癖なんですよ。手が勝手にそう弾きたがるんですよね。 空閑:“ここは8分音符をずっと鳴らしてるのがカッコ良いんだから”って3人からやいやい口を出されながら弾いてたよね(笑)。 ──バンドでかたちにしていく作業はスムーズだったんですか? れんぴ:超早かったです。麗の弾き語りを4人でブラッシュアップするだけっていう感じだったので。 空閑:CDの初回限定盤に7月に開催したYouTubeライヴのDVDがつくんですけど、そこで早くも演奏していますからね、この曲。弾き語りで初めて聴いてから1カ月経っていないですから(笑)。みんな「promise you」が好きすぎて、すぐやりたいって。 ──本当に満場一致のイチオシ曲なんですね。 麗:自信があるからこそ、注目され始めている今、早く聴いてもらいたかったっていうのもあり、まさに満を持してのリリースなんです。