ロードサイドに強い「あみやき亭」。“いきなり!ステーキの後釜”が次なる一手か
安さの秘訣は「仕入」と「セントラルキッチン」
国産牛を安く提供できる秘訣は仕入とセントラルキッチンの工夫にあります。あみやき亭では主に国産のバラ肉を仕入れていますが、ヒレや肩ロースなど、全国各地の肉問屋で余った部位の肉を随時安く購入し、活用しているようです。そのため基本は国産でも、産地が頻繁に変わることがあります。仙台牛や松坂牛のように縛りが無いため、国産牛であれば臨機応変に変更できるのでしょう。 セントラルキッチンでは機械ではなく、約100人のスタッフが手作業で切り分けることにより、廃棄ロスの削減に努めています。スタッフの中には正確に素早くカットできる15年以上のベテランもいるようです。そして焼肉として余った部分はビビンバの肉にしたり、系列店のハンバーグにしたりと、肉業態に特化しているため、会社全体として原価を下げることに成功しています。
コロナ禍で悪化した業績は回復
2020年3月期から24年3月期における、あみやき亭の業績は次の通りです。メインとする焼肉事業、焼鳥事業がいずれも影響を受けたため、コロナ禍では大幅に悪化したものの、24年3月期には以前の水準に回復しています。 【株式会社あみやき亭(2020年3月期~2024年3月期)】 売上高:319億円→221億円→216億円→285億円→333億円 営業利益:18.6億円→▲24.0億円→▲33.8億円→4.2億円→22.1億円 店舗数(焼肉事業):182店舗→181店舗→185店舗→167店舗→173店舗 時短営業や休業、酒類提供の停止や時間短縮もあり、特に21年3月期、22年3月期は業績が悪化しました。前年度と比較した21年3月期の既存店客数は全社で27%減、焼肉業態でも同じく25%減と客が4分の1も減りました。バイキング方式で家族客を集めた「焼肉きんぐ」を除き、コロナ禍では大手焼肉チェーンがいずれも大打撃を受けています。とはいえ消費活動の正常化により前期で以前の水準に回復しました。