生まれて10日の子イルカまで…巨済シーワールドでまたイルカの死
[アニマルピープル] 動物自由連帯「施設閉鎖すべき」
飼育しているイルカの相次ぐ死で「イルカの墓場」と呼ばれる慶尚南道巨済(コジェ)のイルカ水族館「巨済シーワールド」で、生後わずか10日の子イルカが死亡した。2月に2頭のイルカが死んだのに続き、今年だけで3件目の死だ。動物保護団体は海洋水産部と慶尚南道に同施設の閉鎖を求めている。 10日の海洋水産部、慶尚南道庁、動物保護団体「動物自由連帯」の説明を総合すると、8月28日に巨済シーワールドで生まれた子イルカが、生まれて10日後の9月8日に死んだ。海洋水産部、環境部、洛東江(ナクトンガン)環境流域庁、クジラ研究センターなどは、巨済シーワールドから子イルカ誕生の知らせを聞き、今月2日に現場点検をおこなっている。海洋水産部海洋生態課の関係者はこの日、ハンギョレに、「妊娠個体がいることを把握してからモニタリングを続けてきた」とし、「子イルカは生まれた時から健康状態が良くなかったうえ、母親の授乳も円滑でない状態だった」と語った。 巨済シーワールドでは4月にもイルカの「アラン」が出産し、波紋を呼んだ。海洋環境団体「ホットピンクドルフィンズ」などの市民団体は当時、巨済シーワールドがオスとメスを分離飼育せずイルカを繁殖させているのは現行法違反だと主張した。昨年12月14日に施行された改正「動物園および水族館の管理に関する法律(動物園水族館法)」は、従来から飼育されている個体以外に新たにクジラ目の動物を保有することを禁止(第15条第2項)しているからだ。 動物自由連帯も今月4日、巨済シーワールドで子イルカが生まれたことを伝えつつ、「法(改正動物園水族館法)施行後の今年4月と8月に生まれたイルカは明白な違法個体であり、水族館は新規に保有できない」と主張した。ところが、このような指摘がなされてから数日後に、新たに生まれたイルカが死んだのだ。 ただし海洋水産部と慶尚南道庁は、「新規保有禁止」に増殖(出産)個体が含まれるかについては、さらなる法的検討が必要だ、との立場だ。「新規保有禁止」の対象を外部からの導入と考えるのか、増殖(出産)も含まれるのかは、はっきりしないということだ。これについてホットピンクドルフィンズは今年4月、「アラン」の出産は「違法増殖」に当たるとして、巨済シーワールドを動物園水族館法違反の疑いで警察に告発しており、現在調査が進められている。 動物自由連帯はこの日発表した声明で、巨済シーワールドの営業を中止させるために、政府と地方自治体は積極的な行政を展開すべきだと主張した。動物自由連帯は「改正法が施行されて半年が過ぎた今も、巨済シーワールドには変化が見られない」として、「依然としてクジラを利用してショーを展開しており、昨年生まれた子イルカまで金儲けに動員するなど、厚顔無恥な態度が続いている」と批判した。巨済シーワールドは今年7月、昨年生まれたイルカ「マイロ」を利用した体験イベントを新たに開始して批判を受けており、今年2月にはハンドウイルカの「ジュライ」と「ノバ」が病気で治療を受けていたにもかかわらずショーに投入された末に死に、社会の怒りを買っている。 動物自由連帯でチーム長を務めるチョン・ジナさんは、「動物園水族館法第23条に則り、許認可権者(海洋水産部長官と自治体の長)は、必要な場合は水族館に対する是正命令および営業停止などの行政処分を下すことができる」とし、「許認可権者は積極的な行政の展開を通じて、巨済シーワールドの営業に対する制裁策を設けるために最善の努力を尽くさなければならない」と述べた。 これに対して慶尚南道庁海洋港湾課の関係者は、「イルカの出生については法令解釈に明確でない部分があるため、海洋水産部と議論を続けている」とし、「行政処分も、議論できるのはそれが終わってからになると思う」と答えた。海洋水産部は、「水族館の環境を点検できる専門家たちからなる検査官を年末までに任命し、飼育環境などを再点検する計画」だと語った。一方、2014年にオープンした巨済シーワールドでは、今回の子イルカを含め、過去10年間で15頭のイルカが死んでいる。ハンギョレはこの日、巨済シーワールドの説明を聞くために連絡を取ったが、答えは聞けなかった。 キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )