市民から「見直し」と「推進」の声 福知山市の新文化ホール計画
京都府福知山市が、中ノの市厚生会館に代わる新施設として建設する「新文化ホール」。一部で計画の見直しを求める住民運動が起きている。「いろいろな話を聞くけど、何がどこまで決まっているの?」といった声もよく耳にする。現状をまとめた。 市内ではここ何十年と、文化ホールを求める声があり、市は2022年7月に、新文化ホール建設に向けた基本構想、基本計画を考える検討委員会を組織した。地元の文化団体関係者、市民公募委員、外部有識者らで構成。築60年を経て老朽化している厚生会館を取り壊して新しく建て替えるとの市の素案をもとに何度も会合を開き、市民ワークショップ、ウェブアンケートなどを経て同12月に基本構想を策定した。建設予定地については、三段池公園や駅方面も含めて検討した上で、検討委員会として厚生会館跡地を選定した。この構想に対するパブリックコメントの募集、大学生や高校生へのヒアリングもして、23年7月に基本計画が出来た。
■市がめざすのは「文化振興の拠点」
市が示す新文化ホール像は「文化の振興を推進する新しい拠点」。文化ホール、展示スペースを備えるだけでなく、専門のスタッフが常駐し、施設内で市民による楽器や演劇、絵画の教室などが日常的に開催され、幅広い年代の人が気軽に立ち寄って、文化活動に触れて交流し、つながる施設をめざしている。 基本計画では、新文化ホールを、鑑賞・体験▽人材育成▽交流▽創造▽安心・安全-の5つの役割を担う施設とするために、「ホール」「創造活動」「交流」「管理運営」「防災対応」の5つの機能を盛り込む。建設予定地の広さに合わせつつ、求められる機能の充実を第一にして、それぞれの機能に要する面積を試算している。 各機能の骨子と想定面積は次の通り。
【ホール】厚生会館の舞台は狭く、本格的なバレエ、演劇、バンド演奏などは難しい。新ホールは「優れた音響性能、多様な舞台芸術に対応できる機能」を優先する。市民の吹奏楽演奏からプロの公演まで対応できるように広げ、舞台裏なども確保する方針。 客席部分は、固定座席で最低600席(厚生会館大ホールは1階部分の可動席約700席と2階部分に固定席約300席)を確保し、スペースが許す範囲で増設も検討。ホール、舞台裏、ホワイエ(ロビー)などを含む全体面積は2300平方メートル。 【創造活動】市民が日常的に使えるリハーサル室、楽器や絵画などの練習室、展示室に使える様々な広さの部屋を設ける。面積は計500平方メートル。 【交流】誰でも気軽に訪ねられる場とし、チラシの配架、作品展示のできるエントランスロビー▽交流スペース▽小さな子どもが遊べる場所などを設置。各スペースの重ねづかいも考慮し、面積は計300平方メートル。 【管理運営】専門スタッフが常駐する事務室を置き、文化活動の企画や運営、施設の維持管理、部屋の貸し出しに対応する。面積は100平方メートル。 【防災対応】周辺住民の一次避難所として創造活動、交流両機能のスペースを使う。想定される浸水深を考慮して主な機能は2階以上に設け、防災倉庫などに100平方メートルを充てる。