円乱高下は今後起きることの予兆に過ぎず-激しい動き、より頻繁に
サクソ・キャピタル・マーケッツの為替戦略責任者チャル・チャナナ氏は「経済界が大きな声を上げ続けるかもしれない。それは注視すべきことだと思う」と述べた。
4月29日の急反発で円相場は一時1ドル=154円台に上昇した。TDセキュリティーズの通貨ストラテジスト、アレックス・ルー氏(シンガポール在勤)は、4月26日に介入がなかったことで安全だと人々が考えていた時の出来事だったと振り返る。
皆がポジション調整に奔走したため、メルボルンのキャピタル・ドット・コムでは円の取引が通常時の約5倍に急増した。その日の終わり、ストラテジストのカイル・ロッダ氏が語ったのは「足をすくわれる出来事はいつでも急激に起こり得る」との結論だった。
「160円」と一斉に叫ぶ声、円乱高下に慌てるトレーダー-祝日も台無し
円は4月30日、1ドル=157円台で取引された。これは2012年の平均の半値程度。このままいけば、今年も主要通貨の中で最悪のパフォーマンスとなる方向だ。
ドル高は既に世界の市場を動揺させているが、急速な円安がその影響を増幅させる恐れがあり、貿易不均衡や自国通貨への影響を懸念する他国の怒りを招き得る。
GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ・ポートフォリオマネジャーで、市場歴37年のベテランであるラジーブ・デメロ氏(ジュネーブ在勤)によれば、円安は韓国のような日本の競争相手に影響を与える。また、人民元を対ドルで安定させようとする中国の取り組みの妨げにもなる。
人民元を不安定にするようなことがあれば、特に元が地域のアンカーとして見られている新興国市場に非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。
「非常に弱い円は世界にとって大きな問題だ。正常の範囲内で円安が進んでいれば問題なかったが、もはや大丈夫ではない」とデメロ氏は話した。
トレーダーらは、介入で円安トレンドが反転する可能性を疑問視しているようだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、介入の可能性にもかかわらず、ヘッジファンドとアセットマネジャーによる円の売り越しは4月23日時点で18万4180枚と、過去最高だった前週の水準を上回り、データがさかのぼれる2006年以降で最大となった。ティー・ロウ・プライスは1ドル=170円程度まで円安が進む可能性があるとみている。