栽培環境の測定装置を自作 安価に、乾電池で動く マニュアル公開
愛知県農業総合試験場は、栽培環境を測定する装置を安く自作できるマニュアルを公開した。各種のセンサーにつなぐことで、温湿度や日射量、土壌水分などを測れるもので、センサーを除き1台当たり5000円程度で作れる。単3の乾電池4本で1カ月以上動くため、電源のない露地でも使える。複数の農地の栽培環境の比較検証や、後継者に栽培データを残すことなどに活用できるとする。 【図で見る】自作できる環境測定装置の概要 装置は、通販サイトで購入できる電子部品などで作れる。センサーが感知した値を読みデータを処理するマイクロコントローラーをはじめ、記録データの保存に必要なSDカードのスロットなどを、電子回路を構築する「ブレッドボード」に取り付け、各センサーとつなげるなどして作る。 マニュアルでは、必要となる部材やそれを入手できるサイト、部材をはんだ付けなどで組み立てる方法などを解説。各センサーが取得したデータの表示などに必要なプログラムやソフトウェアについても紹介。各農家のパソコンにソフトウェアをインストールして各種設定をし、プログラムを書き込む手順を説明する。 装置には温湿度や地温、土壌水分、土壌の電気伝導度(EC)、日射量などのセンサーを接続できる。いずれも市販されている。日射量とECのセンサーは、自作する方法も紹介する。はんだ付けなどの工程のない「入門版」のマニュアルもまとめた。 マニュアルは同試験場のホームページに掲載している。試験場の山本岳主任研究員は「同じセンサーを複数同時に接続できるようにするなど、自由に改良することも可能だ」とする。今後もマニュアルを更新し、こうした改良方法も紹介していく方針だ。
日本農業新聞