よく眠れない原因は「自律神経の衰え」 加齢に伴う睡眠不足を解決するポイント
加齢に伴って寝つきが悪くなったり、もっと寝たいのに早く目覚めてしまったり...睡眠に悩みを抱えている人は多いものです。年齢を重ねても質の高い睡眠をとるにはどうしたらいいのでしょうか? スリープトレーナーのヒラノマリさんによる書籍『世界のエリートが実践! 人生を変える睡眠術』より解説します。 【快適な睡眠環境の作り方】 ※本稿は、ヒラノマリ著『世界のエリートが実践! 人生を変える睡眠術』(大和出版)を一部抜粋・編集したものです。
日中は交感神経が優位、夜は副交感神経が優位
「年を重ねるごとに眠るのが下手になった」という人は少なくありません。実際、年をとるとだんだん体内時計のメリハリがなくなったり、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量も減ってくる傾向があります。 また、自律神経の働きも加齢によって衰えてくると言われています。 自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経から成り立っています。日中は活動するために交感神経が優位になっており、血管が収縮して、心拍数が上昇し、血圧が高くなります。筋肉への血流量が増し、体が活動しやすい状態を作り出します。 一方、夜は副交感神経が優位になり、血管が拡張して、心拍数が低下し、血圧が下がります。消化器への血流量が増し、深部体温が低下して、眠りやすい体になるメカニズムがあります。 年とともに、特に副交感神経の働きの低下が顕著で、10年ごとに約15%働きが低下すると言われていて、とある研究では、男性は特に30代から、女性は40代から、副交感神経の機能が低下していくことがわかっています。 そのため、寝つきが悪くなったり、うたたねしがちだったり、体内時計もだんだん朝型になっていく人が多いのです。そのように、加齢と共に睡眠も充実しにくくなる傾向は確かにありますが、あきらめないでください。衰えを遅らせたり、補強したりすることはいくらでもできます。
体内時計は運動で調整できる
たとえば、運動の習慣があると体内時計にメリハリが出てきますので、毎日の適度な運動(日々歩くように意識したり、エスカレーターを使わずに階段を使うなど)は、健康はもちろん、質のいい睡眠のためにも効果的なのです。 今できることを実践して、悲観せずに向き合っていただけたらと思います。年齢と睡眠時間の長さにもふれておきましょう。 アメリカの睡眠関係の機関によれば、推奨される睡眠時間は年齢と共に短くなっており、26歳~64歳は7~9時間、65歳以上は7~8時間が推奨されています。逆に、年齢によっては、「寝すぎると認知症になりやすい」というデータもあります。 大切なのは、短すぎず長すぎず、適度な睡眠時間をキープすること。目安としては、働き世代の64歳くらいまでは、最低でも7時間眠ることを目指してください。