「市場として機能してない」 コメ現物市場「みらい米市場」開設1年 際立つ取引低調ぶり
コメの売り手と買い手がオンラインで取引する現物市場「みらい米市場」が開設されてから16日で1年を迎えた。しかし、この間に成立した取引は20件にも満たず、目標から乖離した低調ぶりが際立つ。今夏のコメ不足で十分な量のコメが出品されなかったことが主因ともされるが、専門家からは「市場として機能していない」といった厳しい指摘も聞かれる。 ■成立取引は目標の1% みらい米市場は、公益財団法人「流通経済研究所」を中心にコメ卸大手など16社が出資して開設された。JAグループなどの集荷団体と卸業者などの相対取引で決まることが多いコメの価格形成を透明化するため、生産コストではなく受給に応じた価格指標の構築を目標に、農林水産省が開設を主導した。取引は専用サイトを通じ、生産者などの売り手が最低価格や期限を決めてコメを出品し、卸・小売業者や外食業者などが入札して購入する仕組みを整えた。 市場開設当初は、約50の事業者が取引に参加するなど順調な立ち上がりを見せていた。ただ、市場参加の登録事業者数がこの1年間で190を超えたものの、初年度(法人を設立した令和5年8月~6年6月末)に成立した取引はわずか12件(約200キログラム分)。6年10月までの成立分を合計しても20件に満たず、初年度の取引量は目標に掲げた2万トンの1%程度にとどまった。 肥料などを極力使わない「特別栽培米」が1俵(60キログラム)2万~2万5000円程度と一般的なコメの相対価格よりも4000~9000円も高く売られ、売り手と買い手のニーズが合致しないケースも目立った。低迷した原因として、市場の折笠俊輔社長は「今年のコメ不足でコメ需要が急増し、この市場に出回るコメが不足した」と説明する。「自治体などからコメのテストマーケティングとして、みらい米市場を活用したいとの問い合わせもある」と強調し、巻き返しを図る考えを示すが、好転の材料が乏しい状況に変わりはない。 ■コメ現物市場「必要性ない」