「市場として機能してない」 コメ現物市場「みらい米市場」開設1年 際立つ取引低調ぶり
なぜ、市場は機能しなかったのか。宇都宮大の小川真如助教(農業経済学)は、政府が強く関与する生産調整が根本的な原因だと分析する。小川氏は「生産調整によってコメは基本的にすでに需給調整した状態で作られており、みらい米市場が目指す(需給に応じた)新たなコメの価格指標・相場の構築は難しく、不整合な部分がある」と説明する。
小川氏は江戸時代のコメの現物市場と異なり、「売り手と買い手が自然と集まりたくなる場所になっていない」と、その〝必要性のなさ〟も訴える。「少量取引では、わざわざ取引量が少なく実績に乏しい『みらい米市場』に頼らなくても、より信頼できる取引手段が他にもある。大量取引では、そもそも現在の相対取引に対する優位性が見いだせない」と厳しく指摘する。(西村利也)