スウェーデンで活躍するガラス作家が画家18人とコラボ【広島と東京で展示】
2024年1月8日(月・祝)まで広島市現代美術館で開催されている「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」。1月17日(水)からは東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーに巡回、さらにパワーアップした形で開催されます。 【写真集】山野アンダーソン陽子さんが語る「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」展 本展に至る「Glass Tableware in Still Life(静物画のなかのガラス食器)」は、非常にユニークな過程を経ています。山野さんが声をかけた18人の画家たちは、自分が描いてみたいガラス食器を山野さんにリクエストし、それを受けて山野さんがガラスを吹き、でき上がったものを見ながらそれぞれの画家が絵を描く。そして、写真家の三部正博さんが画家たちのアトリエを訪れて写真を撮り、デザイナーの須山悠里さんが本をデザインするというものです。そして、本展はそうやって生まれたガラス食器と絵画、写真を多くの人に見てもらうべく企画されました。
「ガラス食器をいろんな視点からたくさんの方に見てもらいたいです」と話す山野さん。「Glass Tableware in Still Life(静物画のなかのガラス食器)」プロジェクトは、デザイナーの須山悠里さんが「山野さんのガラス作品を本にしてみたらどうでしょう」という一言をきっかけに始まったといいます。 「ただ、自分はガラス作家としてファンクショナルなものをつくっているので、本にしたらカタログみたいになっちゃうかなと思って、一旦保留にさせてもらったんです。それから5~6年、自分で考え続けました。そのなかで改めて、自分が映画を見てもテレビの討論会を見ても、そのなかに出てくるガラス食器ばかり見ていることに気付いたんです。 思えば18歳か19歳のとき、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会で『最後の晩餐』を見たときも、ワインが入っているグラスがすごく背の低いタンブラーであることに驚き、そこばかり見ていました。絵画のなかに描かれた食器には、時代背景も含まれている。それならば、本にしたら“割れないガラス食器”を次の時代に残せるな、と思いました。 そこで、いろいろな画家の人に声をかけて、彼らが描きたいガラス食器について言葉で説明してもらい、私がそれをつくって…ということを思いついたんです」 そう話す山野さん。コロナ禍でもあり、画家の人選は4年くらいかけて、山野さんが全員に自分で声をかけたそうです。