「親が認知症になったら?」→超危険なトラブルとその防止策とは?
そのトラブルとは、親が認知症になってしまった後、同居していた子どもが、親の通帳から介護費用という名目で預金を引き出して、その一部を自分の懐に入れてしまうケースです。先述した介護の苦労を救済するための寄与分が、法律上、うまく機能していないことが一つの要因と考えられます。 もしも、あなたが何も対策をしないまま、認知症を発症してしまった場合、遺言書の作成も生前贈与もできなくなります。介護をした相続人の苦労が報われるためには、相続が発生した後、他の相続人よりも遺産を多く相続することに納得してもらうか、家庭裁判所で寄与分を主張する以外に方法はなくなってしまいます。 しかし、他の相続人は納得する様子もなく、寄与分が認められるのも難しいということが事前にわかれば、介護を献身的に行っている家族は、横領する以外に自分の苦労を埋め合わせる方法がないのです。 ● トラブルを避ける方法 このような事態を避けるためにも、通帳の管理を家族に任せる場合は、「①いつ、いくらの現金を引き出したか、②その現金を何に使ったか」を記録に残しておくことをオススメします。 例えば、1冊のノートの左側のページに現金を引き出した日付、金額、使い道をメモし、右側のページにレシートを糊やホチキスで貼っておく。これくらい簡単な形でも、横領をしていないことの立証には十分な効果を発揮します。 また、トラブル防止のため、あなたの通帳そのものを預けるのではなく、ある程度まとまったお金(数百万円)を、介護してくれる家族の銀行口座に移しておくのも有効です。年間110万円を超えたとしても、これは生前贈与ではなく、あくまで預けているだけなので、贈与税が課税されることはありません。この場合も、使途がわかるように領収書を残しておきましょう。 年末年始、終活や相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。 (本原稿は『ぶっちゃけ相続 お金の不安が消えるエンディングノート』を一部抜粋・編集したものです)
橘慶太