車いす生活になった作家・志茂田景樹が伝える、人生を楽しくする“たった1つの口癖”
奇抜な髪型やファッションセンスが注目され、90年代にはタレントとしても活躍した作家、志茂田景樹氏。現在、要介護4の車いす生活を送る志茂田氏は、豊富な人生経験に基づいた人生相談がSNS上で人気を博すなど83歳になった現在も精力的に活動している。ハンデを背負いながら、前を向いて生きる志茂田氏が大切にする「人生が面白くなる口癖」とは。本稿は、志茂田景樹『生きる力 83歳車いすからのメッセージ』(エムディエヌコーポレーション)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 要介護4の車いすユーザー それが今の僕です 夢の中でスタスタ歩いている。 そういう自分を何度も体験しました。 要介護4の車いすユーザー。それが今の、僕の身の上です。 現実の生活でスタスタ歩きたいという願望も少しはあるのだと思います。 でも、今の僕はハンデを背負いながらも、前を向いて生きています。 やれると思うことに素直にまっすぐ向かっています。 夢の中でスタスタ歩く僕は、いつも目的を持っており、ワクワクしています。 それは今の自分の現実を反映していることではないのか。 僕はそういう夢を見るたびに、もうひとりの自分に確認をとっています。 「それでいいんじゃないの?」 もうひとりの自分は、苦笑いしながらもうなずいてくれます。 2017年春、僕は関節リウマチと診断されました。 それでも痛む脚をほんの少し引きずりながら、膝の腫れや痛みが増してからは、杖を突きながら仕事も遊びもこなしていました。 市販の薬で痛みを抑えて、全国各地で読み聞かせイベントや講演活動も行っていました。離島へも行きました。 2019年春、一週間の予定で西会津の温泉へ症状の改善を目指して赴きました。宿へ到着してすぐのことでした。フロントの床に上がりかけて、後ろへ転倒してしまったのです。 とっさに頭を上げたので頭部の負傷は免れましたが、腰椎を圧迫骨折して関節リウマチの悪化を招きました。 それが車いすユーザーになった経緯ですが、後で振り返ると無茶をした2年間でした。 その反省もあって、車いすユーザーの自分をあっさり受け入れることができました。 今の僕の状態は、体を動かすと激痛が走るので、車いすの車輪を手で回すことはできません。屋内では両足をつかって車いすをそろそろ動かせますが、通院などの外出には介護タクシーと妻などの介助者が必要です。パソコンも一本指でキーをポチポチ叩いています。 それでは仕事になりませんので、音声入力システムを併用し、なんとかしのいでいます。 そのような状態でも原稿執筆や、SNSへの発信で積極性を失わないのは、僕が書いた作品を読みたいという読者が待っていてくれるからです。 またTwitterなどで僕のメッセージを心待ちにしてくださるフォロワーの方々がいるからです。 その期待に応えなければなりません。こんな体になってしまって、と嘆くより、その自分を素直に受け入れて新しい自分の世界の出発点にすれば、前を向かざるを得ないではないですか。