【飯塚事件】第2次再審請求の行方④状況証拠の柱「紺色ワゴン車」の“詳しすぎる”目撃証言 「これで有罪を出すんですか」福岡地裁は5日に可否を決定へ
FBS福岡放送
32年前、福岡県飯塚市の女の子2人が殺害された飯塚事件。殺人の罪などで死刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚の再審=裁判のやり直しを認めるかどうか、福岡地裁の判断が5日に示されます。第2次再審請求の争点を振り返るシリーズの4回目は、弁護団が状況証拠の柱と位置付ける「目撃証言」について、弁護団の主張をお伝えします。 【画像】【飯塚事件】第2次再審請求の行方④状況証拠の柱「紺色ワゴン車」の“詳しすぎる”目撃証言 「これで有罪を出すんですか」
■久間三千年 元死刑囚 「アリバイ以上のものを持っている。100パーセント関係ないということを、あんたたちが即信じるわ。やってないものをやったと思われたことだけは、これは白黒必ずつける。」 一貫して無実を主張していた久間三千年 元死刑囚。自白も犯行を裏付ける直接証拠もない中、死刑判決を導いたのは複数の状況証拠でした。
■飯塚事件弁護団・德田靖之弁護士 「結局、柱としてのDNA型鑑定があり、車両の目撃証言がある。この2つの柱があるので、繊維が一致したとか、車内でどうも尿痕だとか、血痕らしきものがあったっていう証拠が意味を持つんです。」 その一つ、DNA型鑑定は、同じ鑑定手法が用いられた足利事件で鑑定の誤りが明らかになるなどしたため、証拠能力に疑問符がつき事実上、証拠から除外されました。
もう一つの状況証拠の柱は「車両の目撃証言」です。被害児童の遺留品が見つかった場所の近くで後輪がダブルタイヤの紺色ワゴン車が目撃され、確定判決は「久間氏の車」と認定しました。 いったいどのような証言だったのでしょうか。事件当日の午前11時ごろ、目撃者の男性はたまたまそのカーブを車で通過し、すれ違いざまにワゴン車を見たといいます。男性によりますと、時速25キロから30キロで走行していました。その間に何を見て、記憶し、証言したのでしょうか。
■目撃者の証言より 「確か、後部タイヤがダブルタイヤであった。窓ガラスは黒く、ガラスにフィルムを貼っていたのではないかと思います。車体にはラインが入っていない。」 その他にも「ホイルキャップの中に黒いライン」「やや古い型。車体の色は紺色」など、多くの特徴を証言しました。また、ワゴン車のそばにいた男の特徴についても証言しています。弁護団はすれ違いの一瞬なのに、あまりに詳しすぎると反論しています。 ■支援団体が企画した見学会 「ここは遺留品の投棄現場です。」 この日、ある見学会が開かれました。再審請求を支援する市民団体が企画して、現場に同じタイプのワゴン車を置いて、目撃者の男性が証言した状況を再現しました。 男性は、左カーブを運転しながら、後ろを振り返って後輪のダブルタイヤを見たといいます。 ■飯塚事件弁護団・岩田務弁護士 「皆さん、運転して横通って見たら、 見た直後だってそれだけ再現できませんよね。体験した以外のことがどこからか情報が入ってこないと、そういう調書は作れないわけです。」