【飯塚事件】第2次再審請求の行方④状況証拠の柱「紺色ワゴン車」の“詳しすぎる”目撃証言 「これで有罪を出すんですか」福岡地裁は5日に可否を決定へ
「ないもの」を証言
この目撃証言をこれまで研究してきた専門家は。 ■人間環境大学 心理学部・厳島行雄教授 「車の運転で、特にカーブを運転する時に、左なら左に曲がる時に、その道路に沿って左側をずっと見ていくという、そういう眼球運動をする。もしくは、そういう見方を運転の時にするという理論。」 左カーブで、右後ろを見ながら運転したと証言していますが、その視線はあまりに不自然だといいます。 また「目撃情報」のはずなのに「車体にはラインが入っていない」などと、「ないもの」を証言している点は不思議だと話します。 ■厳島教授 「普通、ないものをなかなかないと報告することはない。自発的に何もないというものをないのだったらそれは語らない。」
実は、久間氏の車には標準のデザインとしてオレンジ色のラインがありましたが、久間氏はそのラインを剥いで使っていました。 なぜ、そのことを知らない目撃者まで「ない」ことを知っていたのでしょうか。第1次再審請求の審理で、その疑問に答えるような当時の捜査資料が明らかになりました。
3月9日、警察は目撃者の調書を作成しました。ところが、その2日前に捜査員が自ら久間氏の車を確認していたことがわかったのです。その日の捜査資料にはすでに、車に「ラインはなかった」などの特徴が書かれていました。 つまり捜査員は、久間氏の車に「ラインがない」という特徴を知った上で「ラインはなかった」という目撃者の調書をまとめていたのです。
■德田弁護士 「この(黄色とオレンジの)ラインがないという問題は、捜査本部からみると、久間さんを犯人に結びつける上で極めて重要な事実だったので、何とかしてこれを引き出そうという、これが捜査官とAさんのやりとりの中で誘導されていったということだと思います。」 そもそも、紺色のワゴン車の目撃証言はどんな意味があったのか。ワゴン車が目撃された場所の下の斜面から、警察はランドセルなどの遺留品を発見し「車と事件」を結びつけました。 しかし、目撃者から遺留品は見えません。そのとき本当にあったのでしょうか。