60歳で「貯蓄900万円」だと心もとない?老後資金の備え方3選
老後の平均的な生活費はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上・無職世帯の家計収支は以下のようになっています。 ●無職夫婦世帯の家計収支 ・実収入:24万4580円 ・消費支出:25万959円 ・非消費支出:3万1538円 ・不足分:3万7916円 ●無職単身世帯の家計収支 ・実収入:12万6905円 ・消費支出:14万5430円 ・非消費支出:1万2243円 ・不足分:3万768円 調査結果によると、無職夫婦世帯および無職単身世帯のどちらの世帯においても、月3万円以上が不足したとのことです。 仮に、毎月3万円以上の赤字が30年間続くとすれば、老後資金は1000万円以上必要になる計算です。 普段の生活費以外にも突発的に大きな出費が必要となるケースも考えられるため、平均値だけを見れば貯蓄900万円では心もとないかもしれません。
「貯蓄900万円」では少ない?いくらあればいい?
世帯によって毎月の家計収支は異なりますし、老後の収入も人によって異なります。 そのため、貯蓄900万円では少ないかどうか、いくらあればいいのかを判断するには、マネープランを立てて具体的に考えてみる必要があります。 現在の家計収支や老後の収入、ライフイベントごとの大まかな出費も視野に入れて考えることで、大体どのくらいのお金が必要になるのか見えてきます。 「老後2000万円問題」が大きく取り上げられたことで、2000万円以上の貯蓄がないと安心できないという方もいらっしゃると思います。 しかし、誰しもが2000万円以上の貯蓄が必要になるわけではありません。 大切なのは、自分が思い描く人生を過ごすために必要となるお金を、より具体的に考えてみることです。 当然ですが、高い生活水準を保ち、趣味や娯楽などにたくさんお金を使いたいのであれば、その分多くの貯蓄が必要となります。
老後資金を準備するには?
まず、老後資金を準備するには、毎月の収入の一部を貯蓄に回す必要があります。家計の把握と見直しを行い、貯蓄に回すお金を確保しましょう。 なお、低金利の銀行預金などで貯蓄する以外にも、老後資金を準備する方法はいくつもあります。主な準備方法を見ていきましょう。 ●個人年金保険 個人年金保険は、公的年金に上乗せする形で加入する貯蓄型の保険です。積み立てた保険料に応じて、老後に年金として受け取ることができます。 年金として受け取る期間や保障内容などは保険商品によってさまざまなタイプがあるので、自分に合ったプランを選ぶことができます。 保険会社の窓口などで相談することもできますし、ご自分でネットから見積もり・申込みまで行うこともできます。 ●確定拠出年金 確定拠出年金(企業型DC、iDeCo等)も、公的年金に上乗せする形で加入する私的年金です。 毎月一定額ずつ拠出し、運用成果に応じた金額を老後(原則60歳以降)に受け取ることができます。 掛金全額が所得控除の対象となり(企業型DCはマッチング拠出による上乗せ分が対象)、受取時にも税制優遇を受けられるので、税制面でのメリットを受けつつ老後資金を準備することができます。 勤め先の取り扱い状況にもよりますが、企業型もしくは個人型、あるいは両方に加入することができます。 企業にお勤めでない自営業や主婦(夫)なども、証券会社や銀行などの金融機関を通じて個人型の確定拠出年金に加入することができます。 ●資産運用 資産運用は、株式や投資信託、債券などに投資し、運用益を狙う方法です。 投資にはリスクがありますが「長期・積立・分散」を心がけることで比較的安定した運用成果を得られる可能性があります。 証券会社などで口座を開設すればいつでも投資を始めることができ、NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば運用益が非課税になります。 また、老後までに金融資産を増やすことができれば、株式の配当金や債券の利息、不動産の賃料収入などの資産収入を得ることも可能です。