新型アウディQ8は、技術力の賜物だ! ドイツ製高級SUVの進化に迫る
清々しい走行感覚
エンジンも小回りが効くことも魅力的であるけれど、なにより感銘を受けたのが乗り心地だ。ただし、ほかのクルマとは快適さがちょっと違う。なんというか、乗り心地が軽いのだ。路面の凸凹に遭遇した瞬間、クルマの重量が半分ぐらいになって、ふわりと乗り越えたかのような錯覚を覚える。 この独特のフィーリングは、おそらくアダプティブエアサスペンションがいい仕事をした成果だろう。 軽いといえば、コーナリングも軽い。2.2tを超えるヘビー級でありながら、ひらりひらりとコーナーをクリアする。ハンドル操作という入力に対する反応も正確で、しかもエンジンのレスポンスとフィーリングは前述したとおりだから、カーブの連続が楽しい。車体が1割か2割、コンパクトになったように感じる。 試乗を終えて、エアサス、後輪操舵、クワトロなどの技術が一丸となって、清々しい走行感覚を実現していることが一番心に残った。考えてみれば、TDI(ディーゼルエンジン)にしろクワトロシステムにしろ、アウディはモータースポーツの実戦で技術を磨いてきた。こうした技術を搭載するクルマが、たとえSUVであってもスポーティで楽しいのは当然のことかもしれない。 「¥15,000,000か¥16,000,000ぐらいかな?」と、思いながらプライスリストを確認すると、まさかの¥12,280,000。車両価格の高騰が止まらない昨今、このサイズと中身でこの価格はバーゲンプライスと言えるのではないだろうか。同じV6ディーゼルで、S lineではない標準仕様を選べば¥11,050,000。これをお値打ち価格と言わずになんと言おう! でも、標準仕様はアダプティブエアサスペンションではないし、オールホイールステアリングも選べない。 これは悩ましい……。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)