能登半島地震から半年、液状化被害の内灘町は今「これだけ放置されたら感覚が麻痺してくる」
1月1日に石川県で能登半島地震が発生してからまもなく半年。甚大な被害をもたらした地震から被災地はどう変わったのか。深刻な液状化被害があった石川県内灘町の津幡高義さん(54)に話を聞いた。 【写真】下水道が破損したままなので、現在も使用している外の仮設トイレ ◆ ◆ ◆
SNSなどで定期的に現状を報告している津幡さん。あれから生活はどうなったのかを問うと「他の報道でも言われていますが、正直なところ何も変わっていません。GW前半の4月27~29日にボランティアさんが入って、事務所の倉庫から災害ごみを出しただけで、それ以外は何も変わっていないのが現状です」と訴えた。 認知症の母親を金沢市内の親族宅に避難させ、自身は断水して傾いたままの実家で生活。実家の隣の事務所兼倉庫は、床が割れて建物全体が大きくひしゃげた。 「幸い実家の建物には被害が少なかったので住めていますが、問題は宅地が液状化して傾いていること。罹災証明書は1回目は2月16日に一部損壊、2回目は3月4日に準半壊で、最大2回まで再調査が受けられるので、先日3回目の調査を受けました。 なぜ3回も再調査を受けたのかというと、支援の上限は半壊だと70万6000円ですが、準半壊だとその半分にも満たないうえに公費解体の対象にもならないから。内灘のこの地区全体が液状化していて、準半壊だともし整備するとしても実費で解体するしか選択肢がない。立ち退くにしても “公費解体して仮設住宅を用意するから移ってください” となれば動けますが……」 断水が解消したのは4月に入ってからだが、その間の水道料金も通常通り徴収されたという。 「4月12日に上水道が復旧したことで、やっと顔とお皿が洗えるようになりました(笑)。それまではポリタンクからボウルに移した水でなでるように顔を洗い、お皿にはラップを巻くかプラスチック容器のものを食べていましたから。実家の前にある診療所の職員が、知り合いの水道屋さんに連絡したらすぐ来てくれたんです。普通に連絡していたら何百件も後だったと言われました。 下水道はあえて修理せず “水を流すだけなら、破損した場所から漏れて大地にかえっていきます” と説明がありました。トイレは “大きいほうは使わないでください” と言われ、今も外の仮設トイレを使っています。お風呂は町民全員が無料の町の温浴施設に通って(注:6月から被災者のみ無料に移行)、行けない時はドライシャンプーやウェットティッシュを使用しています」 「3月に付近の水が出ていることが判明し、町の上下水道課に連絡したら担当者が調べにきました。宅地内で上下水道が破損していて “メーターは回っているけど水が出ないということは、どこかで漏れています” と言われ、3月4日に元栓を閉めてくれました。その時は “これで水道料金はかからない” と説明されたのですが、4月に入ってから “料金を引き落とします” という請求案内が届きました。驚いて問い合わせたら “水道本管には水が通っているので、水道の休止申請書を提出していないと請求されます” と。理不尽ですよね(苦笑)。 町のホームページには “断水が続いている地区の水道料金・下水道使用料を減免いたします。お客様からの申請は不要です” と書かれ、実家に広報が投函されたのは5月中旬で、水道のことは “水道の休止をご検討ください” と但し書きで小さく書いてあるだけ。僕は5月上旬に、偶然公民館で広報を手に入れて町に連絡したけど、何も分からない高齢者はどうすればいいのでしょうか」