【シニア層の資産防衛】元本確保で利息も付く「iDeCo定期預金」のメリット 銀行の定期預金から変えるだけで掛け金の15%以上の節税効果も
今年から拡充されたNISA(少額投資非課税制度)に注目が集まっているが、投資をめぐる税制優遇制度としてはiDeCo(個人型確定拠出年金)もある。専用口座を開設し、投資信託などの所定の金融商品のなかから自分で投資先を選んで運用していく仕組みだ。 【比較表】同じ定期預金でもiDeCoの方が大きく得する
資産運用に関する著書が約30冊あるファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏はiDeCoについて「非常に節税効果が高い」と指摘する。 「掛け金全額が所得控除となり、所得税や住民税の節税になります。通常は約20%課税される運用益も非課税となり、受け取る時も一括なら退職所得控除、分割だと公的年金等控除が使える。この“3つの税制優遇”を受けられるのです」 iDeCoは原則として60歳になるまで資産が引き出せない(加入期間10年未満の場合)。そのため使い勝手があまり良くないとの評価もあった。たしかに若い世代にとっては数十年触れない資産になるので柔軟に利用できないリスクはあるが、近年の制度改正によってむしろシニア世代にとっての使い勝手が向上しているという。 風呂内氏はこう話す。 「2022年にiDeCoへの加入と掛け金を拠出できる年齢上限が60歳から65歳に引き上げられました。60代から始めると受け取りが可能になるまでの年数は5年になり、それでいて節税効果も十分に大きい。60歳から毎月2万3000円の掛け金を拠出する場合、所得税を5%、住民税を10%の計15%とすると年4万1400円、5年間で20万7000円の節税効果を得られます。 60歳以降で加入するには条件があり、国民年金の任意加入者か厚生年金の加入者であることが必要になります。とはいえ、60歳以降も再雇用や定年延長で働き続ける会社員が増えているなか、条件を満たすことは決して難しくない。働き続けるシニア層は、検討する価値があります」(同前)
元本確保型で利息が付く「定期預金」という選択肢
iDeCo加入のメリットを最大限に受けるには商品選びが重要になる。 「60代以降は元本割れリスクがある投資信託などの価格変動型商品よりも、元本確保型で利息が付く『定期預金』を選ぶほうがいいでしょう。銀行の定期預金からiDeCoを通じた定期預金に変えるだけで掛け金の15%以上の節税効果が得られます」(同前) 風呂内氏が注目するイオン銀行の「イオン銀行iDeCo定期預金5年」(金利0.3%)やSBI証券の「あおぞらDC定期(1年)」(金利0.13%)は比較的金利が高く、口座管理料が安いのがメリットだ。 「加入時に2829円、毎月の手数料が171円以上かかる点は注意が必要です。掛け金を5000円など最小限にすると手数料の割合が高くなります。月1万円程度の拠出で掛け金の所得控除と運用益(利子)の非課税によるメリットが出ます」(同前) 別掲図の通り、同じように定期預金に積み立てる運用でもiDeCoを使うことにより、5年間で20万円近い節税効果が得られるのだ。 ※週刊ポスト2024年11月8・15日号