オランダはザックJをどう見たか?
■香川が変えた試合の流れ 前半、オランダを引っ張ったのはMFラファエル・ファン・デル・ファールトだった。30歳になっても彼の創造制豊かな技巧は衰えを知らず、日本戦でもオランダが2-0とリードする牽引役となった。しかし、後半に入ってからチーム同様、ファン・デル・ファールトも精彩を欠いた。左利きのファンタジスタは、この流れの変化をこう分析している。 「香川が入ったことによって、試合の流れが変わった。彼はうまい。後半からナイジェル・デ・ヨンがベンチに下がったことも、オランダにとって影響があった。日本はとても良いチームだった」 オランダのルイ・ファン・ハール監督は前半終了間際の失点がゲームの流れを変えたと見る。 「前半途中までオランダが良いサッカーをし、2-0とリードしたのも納得の出来だった。しかし、前半終了間際、信じられないミスから失点した。ロベンは『リスクをとるな』とチームメートに声をかけていたのに、自陣でリスクのあるプレイをしてしまい、1点を失ってしまった。それで日本はメンタルが蘇った」 ■オランダが苦戦した理由 アリエン・ロベンは前半、鮮やかにチームの2点目となるゴールを決めた。 「ラファエルから良いパスが来た。でもあれが、僕がこの試合で唯一、一対一になれたシーンだった」 オランダにとって厳しい試合になったのはなぜだろう。 「後半、オランダは日本のプレッシングを抜け出せなかった。DFからの丁寧なビルドアップがオランダのサッカースタイルなのに、今日は日本にコントロールされてしまい、それが出来なかった。日本の選手たちは本当によく動いていた」 ファン・ハール監督は後半、日本のパフォーマンスが上がり、オランダが下がったことを両チームの視点からこう解析する。 「日本は後半の交代がとてもよく利いていた。その結果、オランダのDF陣へのプレスがうまくかかった。オランダは左CBに右利きのロン・フラールを入れたため、左サイドへの展開が厳しい状況だった。それでも前半は、左SBにポゼッション能力の高いデリー・ブリントがいたため、比較的スムーズにフラールも左へパスを出すことが出来たが、後半、そのブリントがCMFに入り、フラールのビルドアップのパスがうまくいかなくなった」