【朝日杯FS・レース回顧】アドマイヤズーム完勝も…うのみにできない〝超〟スローペース決着
[GⅠ朝日杯フューチュリティステークス=2024年12月15日(日曜)2歳、京都競馬場・芝外1600メートル] 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】 渡辺 勝ったアドマイヤズームは重賞経験がなかったから5番人気に甘んじたが、終わってみればワンサイドの競馬だったな。 柏木 2番手からメンバー最速の上がり(33秒6)を使われては、他の馬は何もできませんでしたね。素直に評価しなくてはいけません。 渡辺 2着にも2馬身半差だし、センスの良さを見せた完勝といっていいだろう。GⅠ馬にふさわしい堂々たる勝ち方だった。未勝利を勝ったときの時計も、内回りとはいえ1分33秒9だったから、今回の1分34秒1は自分の時計通りに走ったといっていい。 柏木 ですが、レース全体としては前半4ハロンが48秒0。GⅠのマイル戦としては〝超〟のつくスローペースですから、1、2着馬は褒めつつ、レース全体のレベルとしては疑問が残ります。 渡辺 その2着だったオレの◎ミュージアムマイルは、出遅れて位置を取り返すところで脚を使った分、2馬身半という差につながったんだろう。相手は一枚上だったが、十分褒めていい走りだ。 柏木 もう少し距離があったほうがいいと思っていましたが、よく頑張ったと思います。 渡辺 今後どういう距離を選択するかは分からないが、体形的に中距離ぐらいがいいかもな。 柏木 3着ランスオブカオス、4着ダイシンラーはどちらもジョッキーがうまく乗りましたね。新人の吉村君がエスコートしたランスオブカオスは、スローの展開でも中団からよく差したと思います。 渡辺 2着からさらに2馬身半差だから手放しに評価はできないが、1戦1勝の身で素質は見せた。ダイシンラーは急きょの乗り替わりで鞍上がうまく逃げた分の4着、という見立てでいいだろう。 柏木 肝心なのは凡走した人気馬たちですね。1番人気アルテヴェローチェ(5着)はどう見ますか? 渡辺 道中もまれてゴチャつくところがあったな。それに馬体重もプラス14キロ。あれだけ稽古を積んでいたから問題ないと思っていたが、モタついていたり、ジリジリとした反応だったり、結果的に影響したかもしれない。 柏木 この馬はもっと分かりやすい競馬といいますか、無理に小細工しない競馬のほうがいいのかなと思います。前走(サウジアラビアRC・1着)も大外を伸び伸び走らせていましたから。それでも着には来ていますし、一応の力は示したとみていいでしょう。 渡辺 3番人気トータルクラリティはまさかの13着。こっちもプラス12キロと大幅に体が増えていたが、それよりも道中かかっていたのが敗因だろう。 柏木 ただ、このペースで止まったのは物足りないような気も。もう少し頑張ってほしかったですが…。 渡辺 いずれにせよ、柏木君は今回の超スローペースにあまり納得できていないようだな。 柏木 ここまで前半が遅いのはなかなかないですからね。この結果をそのままうのみにしてはいけないと思っています。
東スポ競馬編集部