「“クビになった保険”で大学進学は…」「高卒30歳で正規就職は困難」トッププロを逃した元選手が伝えたい“サッカー引退後”を考えた人生
パッとしない私立大のサッカー推薦でも…
英語を勉強したことはサッカーにも確実に好影響を与えました。当時、私が所属していたサッカー部には部員が100名近くおり、その大半がサッカー推薦者でした。 多くの選手は「大学でレギュラーを勝ち取る→プロになる」ということ以外はあまり考えていなかったと思います。そんななか「英語を勉強している阿部という選手」は良い意味で浮くことができ、独自のキャラクターを確立することができました。これは別に狙っていたわけではないですが、「キャラクター」は「印象」につながるので、部員の多いチーム内の争いを勝ち抜くのに確実に役立ちました。 4年時にはキャプテンも任されました。キャプテンとして100名規模の組織を率いた経験は、ものすごく貴重なものでした。なぜなら、就職して数十年経ち、管理職になったとしても、かなりの大企業でない限り、直属の部下が100名できることはまずあり得ないからです。これは高卒でプロになったならば得られなかったユニークな経験です。 周りから見ると「パッとしない地方の私立大学のサッカー推薦」という進路かもしれませんが、大学4年間の経験値は今の私を支える土台です。そして大学時代に頑張った英語が、現在のグローバルなキャリアでも活きています。 阿部博一(あべひろかず) V・ファーレン長崎で3シーズンプレーし戦力外通告を受けた後、米カリフォルニア大学サンディエゴ校に進学し、国際関係学修士を取得。2014年に三菱総合研究所へ入社し、スポーツ及び教育分野の調査案件に従事。2016年よりFIFA傘下で、アジアの国・地域のサッカーを統括するアジアサッカー連盟(AFC)にて審判部部長(Head of Department, Referees Department)として勤務。 〈第1回からつづく〉
(「高校サッカーPRESS」阿部博一/小野ヒデコ = 文)
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