「“クビになった保険”で大学進学は…」「高卒30歳で正規就職は困難」トッププロを逃した元選手が伝えたい“サッカー引退後”を考えた人生
「サッカーか、それ以外か」を「サッカーも、それ以外も」へ
エリートパスウェイ(※パスウェイ=競技者として歩む道筋、進路の選択肢)に乗っていても、プロサッカー選手になれないケースも相当数あります。「あいつがプロになれるの?」と同様に「あいつがプロになれなかったの?」というケースも少なくないわけです。また、競争を勝ち抜いてプロになったとしても、前述のとおり、ネクストキャリアが必ずあります。 日本では、本気でプロを志した場合、「サッカーか、それ以外か」という二者択一を迫られることが多いです。サッカー以外のことをしていると「サッカーに真剣に取り組んでいない」と決めつけられる雰囲気は、いまだにサッカー界に存在すると思います。 しかし、プロサッカー選手になってからの人生、または、なれなかったときの人生の責任は、誰も取ってくれません。プロサッカー選手を志すならば、「自分の人生は、自分しか本気で考えてくれない」というマインドセットを持ち、どんな進路ならば自分なりに腑に落ちるのか、真剣に考える必要があります。
サッカー以外で何か武器を1つ作る重要さ
進路について次の質問に答えてみることは、意思決定に役立つかもしれません。 ● サッカーを通じて得られる稀有な経験は何か? ● その進路から、サッカーという枠を外したら何が残るか? ● 社会的に見ると、その進路はどんな評価なのか? ● サッカー的には評価されるが、社会的には評価されない進路の場合、どんな自己成長を準備する必要があるのか? 私は高卒でプロサッカー選手になれず、サッカー推薦で大学に進学しました。 入学した大学は勉学や就職に強いわけではなかったので、「プロになれなかったらこの4年間で何が残るだろう?」という問いは、否が応でも考えさせられました。そして「この4年間で、サッカー以外で何かひとつ武器を身につけよう」と考え、独学で勉強を始めたのが英語でした。 勉強を始めてみると、学生数が少なく、勉強を一生懸命する学生もそこまで多くない大学だったので、教授の方々のサポートを一身に受けることができました。周りから見れば大学の短所と思われるところが、自分にとってはプラスに作用したのです。 また、多くの教授が留学経験者だったため、そのポジティブな影響を受け「自分もいずれは留学したい」という、サッカー以外でやりたいことがぼんやりと見え始めたのもこの時期です。
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