私の中のイケボイスは、岡幸二郎さんと鳳月杏さん、森本レオさん。誰もがいい声を持っている。外見を磨くように、声も磨いてみましょう
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第65回は「イケボになれるいい声の作り方」のお話です。 (写真提供◎越乃さん 以下すべて) 【写真】くまモンをバックに自撮りする越乃さん * * * * * * * ◆あまり気の進まなかった講師のお仕事 小さい頃から、人に何かを伝えること、話すこと、教えることすべて苦手で、自分発信ということが大の苦手でした。 なので、組長の人事の時はどれだけショックだったことか…。 退団してからも、人に何かを伝えること、話すこと、教えることは出来れば避けたいと思っていましたが、 お話をいただき、悩んだ末、3ヵ月だけなら…と弱気にお受けした講師のお仕事が、今年で8年目になりました。(笑) 人生は何がどうなるかわからないものだとつくづく実感します。 自分が先生と呼ばれる日がくるとは夢にも思いませんでした。 私の人生はいつも「嫌だ」とか「しぶしぶ」から始まります。 嫌々でも流されるままでも一歩踏み出してみると、思わぬ未来に繋がることもあることを、人生の教訓として学びました。 教えるのは月に1回だったのか、月に2回だったのか、3ヵ月だけなら…とお受けし、緊張しながら自分でスケジュールを組み立ててやっていた初めの頃、 その通りになどいくはずもなく、臨機応変ということを覚え、その人に合わせて伝え方を変えたり、試行錯誤の日々でした。
◆人の変化や成長を見るのが嬉しい 自分では先生とは思っていなくとも、先生と呼ばれると段々意識は高まりました。 組長になったときと似ています。 組長と呼ばれるのも最初は抵抗があり慣れませんでしたが、そう呼ばれ続けるうちに、皆さんに組長という立場にしてもらった感覚です。 先生と組長の感覚はよく似ています。 みんなが楽しく過ごせるよう意識しながら、みんなの変化や成長を嬉しく感じていました。 劇的に変わると、私ももっと頑張らなきゃとエネルギーをもらえるし、元気になれます。 人の変化や成長を見るのが嬉しいのです。 恥ずかしがり屋だった下級生時代、人前で声を発することも出来なかった私が、声を褒められ、何小節かソロをもらったり、マイクをもらったりして、恥ずかしさより喜びが増していく感覚。 声を出すって楽しいと自信になっていきました。 何でも初めは出来なくて当然です。 何かを始め、夢中になり、楽しいと思えたら人生が少し鮮やかになります。 そんな楽しさを今生徒さん達と共有しています。 初めて教えたのはダンスでした。 それから歌。 美しい姿勢や歩き方、写真の撮られ方、メイク、自分らしく輝くための魅力アップレッスンや、元男役から見た素敵な女性とは?というような講演もありました。