製薬会社の株価下落、ケネディの米保健福祉省長官就任指名で 阻止する動きも
雇用維持、医学界、反中絶など多くの阻止要因も
製薬会社は、命を救う医薬品を開発するだけでなく、数十万人の米国人を雇用する企業としての重要な役割を強調し、上院議員の支持を得ることが多い。例えば、ノースカロライナ州では複数の製薬会社が製造および研究施設を持つが、同州は共和党のトム・ティリス上院議員とテッド・バッド上院議員によって代表されている。 14日に発表されたPhRMAの声明では、ケネディに関しては指名されたこと以外の言及はなく、業界の経済的重要性が改めて強調された。 ユーブルとPhRMAが発表した声明は「この業界は米国経済の冠たる宝石であり、米国の患者に世界最多の医薬品の選択肢を提供し、全国で何百万もの高給でハイテクな職を支えています」と訴えている。「私たちの業界の人々は日々、公衆衛生の改善と患者に影響を与える最も壊滅的な疾病の治療に専念しています。バイオ医薬品のイノベーションは疾病との闘いにおいて大きな進歩を遂げており、がんの生存率を劇的に向上させ、C型肝炎を治癒し、急性灰白髄炎(ポリオ)や天然痘のような壊滅的な疾病を根絶してきました」 一方、ケネディとは異なり、医学の学位を持ち、彼の反ワクチン姿勢とこれまで対立してきた医師団体と密接な関係を持つ共和党上院議員が4人いる。医師でもある共和党上院議員は、ルイジアナ州のビル・キャシディ議員、ケンタッキー州のランド・ポール議員、ワイオミング州のジョン・バラッソ議員、カンザス州のロジャー・マーシャル議員だ。 先週のウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、製薬会社がケネディと協力する意思を持つ可能性が示唆されていたが、記事の中では、ケネディの保健福祉省長官への選出を「最悪のシナリオ」と表現している。 「製薬会社らは今、それをなんとか最善のものにしようとしている」と同紙は報じた。 「ケネディは、ワクチンと自閉症、抗うつ薬と学校での銃乱射事件を結びつけるという科学的に否定された理論を支持してきた」と記事は述べている。「もし米保健福祉省長官として承認されれば、彼はテレビでの医薬品広告禁止やワクチンメーカーの免責保護の撤廃を推し進める可能性がある。また、医薬品承認審査の費用を企業に負担させる政策にも手を付けるかもしれない」 一方、にわかに高まった反中絶活動家による反対の声が、PhRMAの戦略を後押しする可能性がある。 政治・政策メディアのPoliticoは米国時間15日の夕方、「ケネディが過去中絶に対してとってきた記録が右派を激怒させる」という見出しを政治レポート『ウェストウィング・プレイブック』のトップに掲載した。元共和党副大統領のマイク・ペンスを反中絶の闘士と称し、Politicoはペンスがケネディを「現代史上、最も中絶支持的な共和党の保健福祉省長官になるだろう」と警告したと報じている。
Bruce Japsen