幸せホルモンが激上がりする5つの方法【40代、50代・疲れ知らずの体をつくる生活術⑨】
3 音楽で幸せホルモンを味方につける
疲れた心身をリセットするには、没頭できる趣味を持つことが一番。なかでも好きな音楽を聴く、または歌う、楽器を演奏する、踊ることは、とても有効なのだそう。 「鶴見大学歯学部で行った研究では、平均年齢64歳の男女44人を対象に、カラオケで好きな曲を3曲歌ってもらい、その前後で唾液の量と、唾液に含まれるストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの量を調べました。 その結果、歌唱後には唾液は増え、コルチゾールが減っていました。これは歌唱前よりもリラックス状態にあることを表しています。しかも気分が明るくなっていました。これは歌うことが好きな人、嫌いな人に関係なく、ほぼ同じ結果になったのです。 また、吹奏楽器は息を吐くことによって呼吸筋が使われること、打楽器をたたくとそのリズム運動により、幸せホルモンであるセロトニンの分泌が促進されることがわかっています。 ゆったりとしたリズムに合わせて踊るフラダンスは有益な有酸素運動でもあり、副交感神経を優位にしてリラックス効果があります」 もちろん音楽を鑑賞するだけでもOK。趣味の中に音楽を取り入れることは、心身の疲れ解消にも役立ちそうだ。
4 大泣きする「涙活(るいかつ)」はストレス解消度抜群
大笑いすることでストレス解消することは有名だが、それと同じ、いやそれ以上に効果が高いのが大泣きすることだそう。 「こんな実験結果があります。お笑い芸人のネタを聞いて笑ったあとと、感動的な映画を観て泣いたあとのストレス解消度を比較したのです。それによると、泣いたあとのほうが、解消度が高かったというのです。 感情が揺さぶられて泣くと、自律神経がリラックス状態を示す副交感神経に切り替わり、コルチゾールが低下することがわかっています」 大人になるとなかなか人前で泣くのははばかられるが、本を読んだり映画を観たときには、思い切り涙を流すことをおすすめする。
5 いい気候の季節は森林でフィトンチッド浴!
ウォーキングなどの有酸素運動がストレス解消に有効であることは周知のとおりだ。できたら、そこに自然の木々の力も借りてしまおう。 「森の中には木々が放出するフィトンチッドという、揮発性物質が放出されています。主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物で、リラックス効果があります。この効果に着目して、森林セラピーという言葉も登場。木の香りに包まれると、疲労回復の早いことが確認されています。 また、森の中の風の音、小川のせせらぎ、鳥のさえずりは、心地よいと感じる『1/f ゆらぎ』をしています。こうした自然に囲まれることが、心身の安らぎや浄化に役立ちます」 いい気候の季節には、ぜひとも木に囲まれてみよう。
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 イラスト/midorichan 取材・原文/山村浩子