圧倒的な品質で[V6]セダン!? マツダ ミレーニアの作りこみが凄すぎた件
そんなにたくさん売れたわけじゃない。でも、何年経ってもみんなが覚えている……そんなクルマを取り上げるこの企画。今回は、バブル崩壊の辛酸を舐めた悲劇の名車、マツダ ミレーニアが登場!! 【画像ギャラリー】バブル崩壊があってもなくても実はいいクルマ!!優美なV6セダン・マツダ ミレーニア(28枚) ※本稿は2024年11月のものです 文:小沢コージ/写真:茂呂幸正 初出:『ベストカー』2024年12月10日号
■バブルに翻弄された高級FFセダン
マジで波乱万丈すぎる!人に運命があるように、クルマにも車命があるのか?そう思わされたのがバブル崩壊の落とし子たる高級FFセダン、マツダ ミレーニアだ。 誕生のきっかけは1989年に始まったマツダ5チャンネル化戦略。新高級車ブランドとしてユーノスが生まれ、フラッグシップとして800が作られ、十年基準を唱えた、あり得ないほど贅沢な作りが凄かった。 当時のマツダ ルーチェとも違うプラットフォームを新規開発。サスは贅沢な前後マルチリンクでエンジンは2.5L、2.3L、2Lの全種V6 DOHC。2.3Lに至っては量産車初のミラーサイクルだ。 ほかにもリショルムコンプレッサー式スーパーチャージャーや4輪操舵の4WSやアルミボンネット、ソーラーベンチレーションとハイテク山盛り。それでいて駆動はFF。マツダは当時からFR高級車を作りたかったのかもしれない。 ところが1992年頃にはご存知バブル崩壊。ユーノスはロードスター以外売れなくなり、1996年にはブランド統合。 ユーノス500やプレッソは廃番の憂き目にあったが、ギリギリ生き残ったのが800。マツダブランドでミレーニアへと改称し、継続販売されるのだ。 かつての人気俳優加勢大周が事務所トラブルで改名させられそうになったような話だが、逆にそれだけ800=ミレーニアが捨てがたかったってことかもしれない。
■時代を彷彿とさせる豪華仕様
事実、今回乗った2001年式の20Mプレミアムエディションは凄い。距離8.3万キロとソコソコ走ってるが外装はキレイで純正アルミホイール付きだし、ベージュの本革シートは汚れもほつれも少なめ。クッションも良好でさすがに金かけて作ったバブル期の高級車感の匂いムンムン。 ボディは全長4.9m弱と威風堂々してるし、パワーシート、金属製のサイドシルなどもリッチ度高し。なにより外観デザインは今の魂動デザインとは似ても似つかぬほどアメリカン。 ふくよかで丸みを帯びた優美なFFフォルムで、リアもクラシカル。当時のトヨタカムリやウィンダムを思い起こさせるバタ臭さだ。トランクも417Lと大きくゴルフバッグ3つ以上は積めそう。 それもそのはず、当時はコイツを使って北米に新高級車チャンネルのアマティを作り、アマティ500として売り、そのほか4L・V12搭載のユーノス1000も作る計画だったからまさにバブルは罪深い。 インテリアは今見ても優雅。最新のデジタル大型ディスプレイこそないが大陸的な流れるようなインパネデザインでトーンはすべて明るいクリーム調。リアルウッドではないが木目調パネルも随所に配され、ステアリング、シフトノブも本革でシートには高級輸入ソファのようなドレープ付き。 走りもボディ剛性はそこそこ高いが、今の欧州車的しっかり感とは違う、アメ車的ユルさ。ステアリングも軽めでユルく、CX-60もビックリの仕上がり。 全車V6・DOHCエンジン搭載だが、中古でミラーサイクルはほぼ残ってないようで、今回は最小の2L。たったの160psでトルクも細いが、さすがは6気筒、上までキレイに回る。 気になる4WSは付いてなさそうだったが、当時のクラウンよりシャープで、ヘタな輸入車に比べ質も耐久性も安心。価格も安いしレア物好きに捧げたい!