【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第18回 急なポジション変更、対応と心構えは?
板倉選手の定位置といえばセンターバック(CB)である。だが、チーム事情によってはいきなり守備的MFとして出場することも。そんな場合の柔軟性あふれる対応とは。 ■ボランチ起用を告げられ、戸惑いが ここのところ、所属するボルシアMGでは守備的MF(ボランチ)として起用されることが増えた。第26節のハイデンハイム戦(3月17日。日本時間、以下同)の71分、4-2-3-1の布陣で2ボランチの一角として途中出場してからだ。 ウニオン・ベルリン戦(第31節・4月28日)では終盤79分から、続くブレーメン戦(5月4日)は先発からセンターバック(CB)を任されたが、長いことボランチ起用が続いた印象がある。 僕はCBが本職だという自負がある。ただ、ボランチとしての経験も積んできているため、チームからすればオプションのひとつとしてとらえるのは当然のことだろう。 とはいえ、実際にプレーする身としてはポジションが急に変わった場合、即座に切り替えることは難しい。CBとボランチとのはざまで葛藤がないといえばウソになる。今回は、そういったケースにどう対応していくのか、心身の柔軟性について語ってみたい。 今シーズンの開幕前から、ボランチ起用の雰囲気は感じていた。昨年7月のプレシーズンマッチ2試合で、すでにボランチでの先発出場をしていたからだ。セオアネ監督からは「コウがボランチに入ることで守備が安定する」と一定の評価を受けた。 ただ、その時点で僕は一度、監督のもとへ直談判しに行った。今までどおりCBをやらせてもらえないか、と。 ボランチ起用に対して異議を唱え、拒否するというわけではなかった。ただ、自分が長期間にわたってCBをやってきた中で、いきなりボランチへシフトするとなれば、感覚を取り戻すまでに多少なりとも時間がかかる。それを危惧したからだ。 実際、ハイデンハイム戦は探り探りでのプレーだった。CBのときのように、思いどおりにプレーできないもどかしさもあった。何しろ、視野の部分や感覚において、CBとボランチではかなりの違いがある。 いきなり中盤に立たされて、思うように周りが見えないのもキツい。となれば、「俺はCBなんだから、そこで引き続き使ってほしい」という気持ちがより強くなった。 だが、チームにはチームの事情というものがある。ボルシアMGはCBの人材が多いこと、また、中盤での守備の安定性を強化させたいという狙いも痛いほどわかる。ましてや、ここ最近のチームの成績も決して良いとは言えないのが実情だ。結論、チームの勝利に貢献することが第一。自分にそう言い聞かせた。