50歳代で「老後2000万円問題」をクリアしている世帯は全体の約2割! 支給年金額とかかる生活費、マイナスにならずに老後は暮らせる!?
多くの人たちが「老後資金2000万円問題」に頭を抱えています。その一方、年金受給開始年齢の引き上げや高齢者の医療費負担額の増大なども検討されており、今後はさらに経済的に苦しくなると考えられます。直近では、2023年5月に「改正健康保険法」が成立し、75歳以上の後期高齢者が負担する保険料が2024年度から2025年度にかけて段階的に引き上げられていく予定です。 【データ】男性・女性の未婚率の推移、30~40代女性の結婚願望は? そうした中で、「老後資金2000万円では足りないのではないか?」と考える人も少なくありません。本記事では2021年に公開された映画『老後の資金がありません!』の背景を確認した上で、本作から老後の暮らしにおける幸せについて考えていきましょう。
天海祐希が演じる「後藤篤子」はリアルな50歳代主婦
映画『老後の資金がありません!』(2021)は垣谷美雨氏による同タイトルの書籍(2015)がベースになっています。本作品の主人公は「節約」をモットーとする53歳の主婦・後藤篤子(天海祐希)です。彼女は「家族の幸せ」や「夫婦の老後」のために日々の暮らしの中で節約を常に意識しています。自分にかけるお金といえば、ヨガ教室の月謝くらいで、ブランドバッグを購入するのなんて夢のまた夢。 一方、家族は篤子のそうした気持ちを察することなく、お金に関して無頓着。篤子は盛大な披露宴を希望する娘・まゆみ(荒川優愛)やセレブ志向の姑・芳乃(草笛光子)からお金を無心され、家族の自由奔放な姿に不満を少なからず抱えています。また、夫・章(松重豊)が勤める会社が倒産するなどハプニングにも見舞われます。 お金を老後に向けて着実に貯めていきたいと思いつつも現実はうまくいかないという状況は、多くの家庭がおかれている状況と重なる部分があるでしょう。さらに、篤子の「擦り切れたバッグ」や後藤家の夕食の定番メニューである「豚もやし鍋」に共感する同世代の女性も多いはずです。
50歳代で「老後2000万円問題」をクリアしている世帯は全体の2割程度
『老後の資金がありません』の主人公・篤子と同年代である50歳代の貯蓄状況を見ていきましょう。 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」によると、50歳代の貯蓄額の平均値は1253万円、中央値は350万円という結果でした。 あわせて、50歳代の貯蓄額の分布を見てみましょう。 金融資産非保有:24.4% 100万円未満:9.3% 100~200万円未満:5.8% 200~300万円未満:4.2% 300~400万円未満:5.1% 400~500万円未満:3.2% 500~700万円未満:5.0% 700~1000万円未満:5.7% 1000~1500万円未満:8.8% 1500~2000万円未満:6.0% 2000~3000万円未満:7.2% 3000万円以上:10.8% 無回答:4.6% 出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果|知るぽると」 50歳代で老後2000万円問題をクリアしている世帯は全体の24%にとどまっています。また、貯蓄が100万円未満の世帯の割合は33.7%と、2000万円以上の貯蓄がある世帯よりも多いという結果でした。 同調査の結果では平均値(1253万円)と中央値(350万円)が乖離しており、貯蓄額が二極化しています。また、500万円未満の貯蓄額の世帯が半数を超えていることからも、ほとんどの世帯が2000万円貯めるのは非現実的といえるでしょう。