外信コラム トランプ氏の米大統領復帰 ガザ住民の思いは 千夜一夜
米大統領選でトランプ前大統領の復帰が決まり、イスラム原理主義組織ハマスとイスラエル軍が戦うパレスチナ自治区ガザの住民に電話で感想を聞いた。 ガザ中部の男性、アブドラボさん(30)は「トランプ氏はハマスに(イスラエルから連行した)人質を解放するよう圧力をかけるだろう。だから戦闘が早く終わるかもしれない」と期待を示した。一方、北部の女性、ハサネンさん(35)は「トランプ氏は『戦闘を終わらせる』と言ったが、選挙での支持固めが目的で、具体案があるわけではないと思う」とし、先は読めないと話した。 戦闘の行方にかかわらず、ガザの住民は難局に直面する公算が大きい。トランプ氏は1期目の米大統領時代、イスラエルを偏重してパレスチナを冷遇する政策を取った。米国が最大の資金拠出国だった国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出を中止したのがその一例だ。 ガザ保健当局によると、昨年10月の戦闘開始以来の死者数は4万4千人を超えた。ガザの人口は推計220万人だから、住民の「2%」がイスラエル軍の攻撃で死亡した計算になる。 「戦争は高くつくから好まない」との分析もあるトランプ氏の胸中はいかに-。ガザの人々は固唾をのんで見守っている。(佐藤貴生)