フランス国債入札、賭けに出たマクロン大統領に最初の大きな試練
(ブルームバーグ): フランスは、マクロン大統領が解散・総選挙という大きな賭けに出て世界を驚かせ市場を混乱に陥れて以来、初めて国債を発行しようとしている。
政府は20日、3-8年債の入札を実施し最大105億ユーロ(約1兆円8000億円)の調達を目指す。この10日間でフランスとドイツの10年債スプレッドは30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上拡大している。
誰も入札の失敗を予想してはいないが、入札結果はフランス国債の価格下落によって利回りが買い手を引きつけるのに十分な高水準に達したかどうかを見極める手がかりになるだろう。キャンドリアムやブルーベイ・アセット・マネジメントなどのファンドは今週、さらなる下落の可能性を指摘し、フランス債を敬遠していると明らかにした。
コメルツ銀行の金利戦略責任者、マイケル・ライスター氏は「入札はセンチメントにとって次の大きな試金石になる」と述べた。「とはいえ、もう一段の利回り上昇へのハードルは高そうだ」と付け加えた。
フランスの国債発行規模は今年これまで、1回につき120億-130億ユーロのレンジだったが、先週の一斉売りのさなかに財務省は20日の入札により小規模な目標を設定した。ウニクレディトのストラテジスト、フランチェスコ・マリア・ディ・ベッラ氏は、「これは助けになるだろう」と語った。
投資家は、世論調査でマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」に後れを取っているマクロン氏の陣営が議会で劣勢になれば、財政再建が難しくなると懸念している。欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、国内総生産(GDP)の5.5%の財政赤字を抱えるフランスに対し過剰赤字手続きを開始した。
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ルペン氏は、マクロン氏と協力すると述べ投資家を安心させようとしている。それでも、投資家がフランス国債を保有するために求める上乗せ利回りはじりじりと上昇を続け、19日には2017年以降の最大となる79bpに達した。