「退職後は出費も減るだろう」の誤算。定年後に増える出費・減る出費一覧で予習を
定年後に減る出費
定年後に減る主な出費は次の通りです。 ・被服費 ・教育費 ・税金や社会保険料 退職すると出勤時に着用するスーツなどの費用が要らなくなるため、被服費や靴代などが抑えられます。 また、大半の人は、子どもが独立して教育費がかからなくなります。 前述の「60歳以上・無職世帯の1か月の支出状況」で出費が一番減ったのは、非消費支出です。 非消費支出とは税金や社会保険料のことで、給与収入がなくなったことにより税金が大幅に下がります。 また、退職後は厚生年金保険料や雇用保険の負担はなくなります。 ただし、健康保険については企業の健康保険料の代わりに、国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)を支払わなければなりません。 ここまで、定年後の支出内訳と定年後に減る出費について解説しましたが、次章では定年後に増える出費と出費を抑える方法を紹介します。 安心して老後を過ごすためには、老後資金を貯めたり老後の収入を増やしたりするだけでなく、支出を抑えるという選択肢もあります。
定年後に増える出費
定年後に増える主な出費は次の通りです。 ・保険医療費 ・教育娯楽費 ・交際費 年齢とともに病気にかかることが多くなり、医療費が増える可能性があります。 また、介護が必要になったときの費用も要注意です。 生命保険文化センターの調査によると、介護費用は次の通り大きな負担になります。 ・介護に要する初期費用:平均74万円 ・毎月の介護費用:平均8万3000円 教育娯楽費は、退職してできた時間を利用した趣味や娯楽などにかかる費用です。 ランニングや園芸などあまりお金のかからないものもありますが、旅行やゴルフなどが重なると大きな出費となります。 生活の場が会社から自宅周辺に移ることから、近隣や地域での交際費も増える傾向にあります。
老後の出費を抑える方法
老後の出費を抑えるための方法を4つ紹介します。 自分にあった節約術を見つけましょう。 ●健康管理に努める 健康管理に努めることで、充実した老後生活を送れるだけでなく医療費や介護費を抑えられます。 主な対策は次の通りです。 ・規則正しい生活をする ・健康的な食生活を送る ・運動習慣をつける ●お金のかからない趣味を見つける 定年後は時間を持て余すことがないように、自分にあった趣味や娯楽を見つけるといいでしょう。 しかし、あまりお金がかかり過ぎると、家計に影響を及ぼしかねません。 費用のかからない趣味や活動を紹介します。 ・ランニングや散歩など簡単にできるスポーツ ・英語やパソコンスキル、お金の勉強など実益を兼ねた学習 ・ボランティア活動 ・料理や園芸、釣り、読書 など ●子どもや孫への支出を抑える 子どもや孫への出費が増える方もいるでしょう。 たとえばソニー生命が行った「シニアの生活意識調査2023」によると、シニア層の孫への平均支出額は年間10万8134円となっています。 可愛い孫のために何かしてあげたいという気持ちは当然ですが、あまり高額になると老後生活に影響することもあります。 子どもに対する援助なども同様です。 貯蓄や毎月の家計収支を確認して、支出額を一定の範囲内に収めましょう。 ●大きな支出は慎重に検討する 老後はあまり大きな収入が期待できないため、老後資金を大きく減らすような高額な出費は慎重に検討しましょう。 支出が高額になりやすいものは次の通りです。 ・自宅のリフォーム ・新車の購入 ・子どもへの住宅資金援助 ・孫の教育資金援助 など