日清食品はなぜ「小売店に価格引き上げの圧力」をかけたのか。即席めんトップメーカーが見せた“焦りと慢心”の二面性
「年間200億円」もの広告宣伝費をブランド構築に投入
日清食品の2024年3月期の広告宣伝費は230億円。2023年3月期は190億円でした。年間200億円という凄まじい額を広告に投じていることになります。 2023年度の企業別CM好感度ランキングでは、日清食品の「カップヌードル」が第2位でした。2022年度も2位は「どん兵衛」。日清食品なCM好感度ランキングで上位の常連。画期的なCMを作るという伝統が受け継がれていることと、潤沢な広告費を投じているからこそできることでしょう。 日清食品が製造する即席めんはその味もさることながら、消費者の好感度を獲得してブランドそのものの選好度も高まっており、中長期的にシェアを落とす可能性は低いでしょう。 即席めんの分野において圧倒的な強さを持っていたことが、独占禁止法に抵触するという悪い形で表に出てしまいました。公正取引委員会の警告を受けてなお、営業増益を達成できるのか。正念場を迎えています。 <TEXT/不破聡> 【不破聡】 フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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